■プロゴルファーから普通のパパに
実際、大学卒業直後には周囲に結婚相談もしていたという。前出の阿部監督は、芽緯さんの性格についてこう評する。
「海外で育っているからか、考え方に芯があるんですよね。真面目でしっかり者だったので、女子ゴルフ部のキャプテンを任せていました。また卒業後も、大学職員として女子ゴルフ部のコーチも務めてもらいました」
それでも最終的には自らのキャリアではなく、夫のサポートに専念することを選んだ芽緯さん。そんな「彼の夢に人生を捧げる!」という覚悟が、今回のマスターズでも大きな支えとなっていたようだ。阿部監督が続ける。
「英樹は海外ツアーも一人で移動しています。というのも、彼は家庭とゴルフをしっかり分けて考えているんです。勝負の世界ですからね。メリハリをつけたいのだと思います。
ただ芽緯はゴルファーの大変さを熟知しているので、そのあたりの心境をしっかり理解しています。だから『彼にはべストな環境を選んでほしい』と言って、3歳の子供といっしょに日本で待つようにしているみたいです。英樹にとっては、“最高の理解者”なんじゃないでしょうか。
帰国したとき、英樹はプロゴルファーから普通のパパに戻ります。逆に言えば大切な家族が日本で待っているからこそ、彼はアメリカで頑張ることができるんです。それが、今回の快挙につながったのだと思います」
これまで芽緯さんと阿吽の呼吸で歩んできた松山。高橋監督は最後に、こう笑った。
「2年くらい前、芽緯や子供を連れて3人で会いに来てくれたんです。赤ちゃんを抱っこしたときは、うれしくてね。もう、おじいちゃんのような心境なんです(笑)。
だから、今回の優勝も格別です。表彰式の後に電話をくれたのですが、英樹は『監督、やりましたよ!』と興奮していて。私も本当にうれしかったですね」
「女性自身」2021年5月4日号 掲載