■ルッツとたった1点差…それでも4回転半に挑む理由
試合で跳んだときに、特別に高く評価されるわけではない現状。それでも挑み続ける理由を、あるフィギュア関係者はこう話す。
「“いちばん好きなジャンプであるアクセルを極めたい”という純粋な思いが一つにはあると思います」
さらに、「フィギュア界への影響も考えているのでは」と続ける。
本誌は前号で、デジタル技術を使った採点制度の導入を提言した羽生の早稲田大学の卒業論文が、学術誌に掲載されたことを報じた。
論文では“稚拙なジャンプ”を跳ぶ選手、すなわち離氷しない状態で回転数を稼いでから跳ぶ“ごまかし”をするスケーターの存在について触れているが、
「現役の選手がそのような指摘をするのは覚悟のいることです。自分も中途半端なジャンプを見せるわけにいかなくなりますから。
4回転半を成功させることで、“自分は4回転半でも完璧に跳んだ。スケーターは完璧な演技を目指すべきなんだ”と見本を示し、ごまかしが横行するフィギュア界を改革したい、という思いがあるのではないでしょうか」(前出・フィギュア関係者)
オフシーズンに入った羽生。4月22日のアイスショー「スターズ・オン・アイス」の公演後、次のようなコメントを発表した。
「一からまた(4回転)アクセルを作り直して、ちゃんと“羽生結弦のジャンプだ”って思ってもらえるようなジャンプにして、来シーズンに向けて頑張っていきたいなっていうふうに思います」
“これが羽生結弦のジャンプだ!”と胸を張れる日まで、闘いは続く。
「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
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