「フィギュアスケート界では、シーズンが切り替わるのは7月1日です。まもなく’21-’22シーズン、すなわち北京五輪シーズンが始まります。羽生選手が、例年以上に注目を集めるシーズンになることは間違いないでしょう」
羽生結弦(26)についてそう話すのはスポーツ紙記者。
「来年2月の北京で五輪3連覇の期待がかかっていることに加えて、自身の悲願である4回転アクセルの成功が近づいているとも言われていますからね。さらに、それらをかなえたら引退を決めてしまったっておかしくないシーズンです」
そんな注目の新シーズンの始まりに羽生が選んだスケジュールについて、ファンや関係者からは驚きの声が上がっている。
「『ドリーム・オン・アイス2021』(DOI)に出演することが発表されたのです。7月9日、10日、11日の3日間、新横浜で全4公演が行われるアイスショーですが、羽生選手が『ドリーム・オン・アイス』に出演するのは’15年以来6年ぶりです」(前出・スポーツ紙記者)
6年ぶりの出演を決めた理由はなんなのだろうか。フィギュアスケートファンによると、
「羽生選手が例年の5月から6月ごろに、常連のように出演しているアイスショーは『ファンタジー・オン・アイス』です。ただ、今年はコロナ禍のために『ファンタジー~』は開催されないことが発表されているんです。かわりに『ドリーム~』に出る決意をしたということだと思います」
現役を引退したプロのスケーターも多く参加する「ファンタジー~」と違い、「ドリーム~」は現役のトップ選手によるエキシビションという位置づけなのだという。
「シーズンの切り替えの時期のアイスショーということで、『ドリーム~』で新プログラムのお披露目をする選手は少なくありません。羽生選手も過去の『ドリーム~』で’14年には『バラード第1番』を、’15年には『SEIMEI』を発表しています。ともに’18年の平昌五輪で金メダルをとったプログラム。
羽生選手は北京五輪に向けてショートプログラムを変更する可能性があることを示唆していましたから、今回の『ドリーム~』で新プログラムを披露するかもしれませんね」(フィギュア関係者)
フィギュアスケート評論家の佐野稔さんによると、現役選手にとって、アイスショーは「練習の場」でもあるのだという。
「夏に観客の前で滑ることはいい練習になります。特に今年はコロナの影響で、例年、羽生選手がシーズン初戦に選ぶことの多かった秋のオータムクラシックが開催されるかどうか不透明ですからね。
また現状の完成度にもよりますが、4回転アクセルを試すのには適した場所です。多くの選手は新しいジャンプを試合で跳ぶための前段階としてエキシビション(アイスショー)を選ぶんです」
また、あるフィギュア関係者は、今回の「ドリーム~」参加表明を知り、次のように思ったという。
「あぁ、羽生選手は今年も昨年同様に日本で1人で練習をしていく覚悟を固めたのかな、と」
羽生はコロナ禍で練習拠点であるカナダに渡れなかった昨年、日本で1人で練習してきた。カナダにいるブライアン・オーサーコーチ(59)や振付師たちとは、動画のやりとりやリモートで相談をしていたというが、その状態が今年も続くのではないかということだ。
「たとえば、今回『ドリーム~』に出演しない宇野昌磨選手(23)は、6月中には練習拠点のスイスに渡航する予定でいます。
羽生選手も通常のシーズンであれば夏はカナダで過ごしていてもおかしくないのですが、そもそも現在のカナダは外国人の入国は原則禁止。今後もどうなるかわかりません。
どうなるかわからないカナダへの渡航を考えてやきもきするよりも、今できることをやろうと『ドリーム~』出演を決意したのではないかと思うのです。このまま北京五輪までコーチなしで、1人で練習を続ける可能性もあるでしょう。昨季の彼の成果を見ればそれでも金メダルは十分に狙えると思います」(前出・フィギュア関係者)