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「今年1月の成人式で朗希に会ったとき、『そろそろ(体の)成長が終わる』と言っていて、活躍を楽しみにしていましたが、まさか完全試合を成し遂げるとはね」

 

岩手県陸前高田市で、かつて少年野球チームの監督を務めていた村上知幸さんはそう感嘆する。

 

4月10日、プロ野球史上16人目となる完全試合を史上最年少で達成した、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手(20)。

 

大船渡高校時代から“令和の怪物”と評されて注目されていたが、

 

「ロッテ入団後の2年間は、筋力や下半身の強化に励んできました。体づくりの努力が実り、3年目で一気にすごい投手になってしまったわけです」(スポーツ紙記者)

 

生まれ育った地元・岩手県を取材すると、圧巻の活躍への驚きと喜びの声が聞こえてくる。佐々木の中学時代に地区選抜チーム「オール気仙」で指導した布田貢さんは、

 

「こんなに早く結果を残すなんてね。朗希は好青年。いい意味で普通のコですよ。練習は一生懸命だし、中学生のころから自分で考えられる頭のいい選手でしたね」

 

また、大船渡高校の野球部コーチの新沼丞さんは、

 

「もう順調すぎるくらい立派に成長してくれました。地元の同級生たちともいまも仲がいいですよ。帰ってきたときは、再会を兼ねて仲間たちと一緒に練習してます」

 

地元に愛される20歳の武器は、190センチの長身から繰り出される剛速球。前出の村上さんいわく、「野球を始めた小学校3年生のときから、身長は高いほうだった」というが、その恵まれた体格は、3兄弟(佐々木は次男)を産んだ母・陽子さんの子育てルールのおかげかもしれない。

 

「“寝る子は育つ”で、大きく育てたいと、お母さんは早寝をさせていたそうです。小学生のころは20時に就寝していたとか。佐々木選手はプロになってからもその教えを大切にしていて、いまも早寝を心がけているそう」(前出・スポーツ紙記者)

 

佐々木と母の絆は強い。

 

「今、こうやってプロ野球で野球ができているのは母のおかげ」

 

本人が球団のYouTubeでそう話していたこともある。地元の人々によると、母・陽子さんは「人当たりがすごくいい。息子の活躍にも気が大きくなることなく、謙虚」「しっかりしたお母さん」といわれる人柄。

 

陽子さんは、佐々木が小学校3年生のときからシングルマザーだ。

 

東日本大震災で地元の陸前高田も大きな被害を受け、父・功太さん(当時37歳)と祖父母が亡くなったためだ。その後は、大船渡市に移り住み、親族や周囲のサポートも受けながら生活をしてきた。

 

高田小学校時代の同級生の父親、吉田寛さんは震災遺族同士、子供たちを遊びに連れていったことがあると話す。

 

「息子たちが小学校5年生のころでした。あしなが育英会の企画で、朗希と彼のお母さんと彼の兄弟、うちの息子と私などで一緒にディズニーランドに行ったことがありました。うちも震災で息子と2人だけになってしまっていてね。みんなで現実逃避というか。そのときは、朗希も息子と一緒に乗り物に乗って楽しそうでしたね。彼は弟さんの面倒見がよかった印象もあります」

 

亡き父の親友で、陸前高田で中華料理店・四海楼を営む長田正広さんは、被災後の母のつらさをおもんぱかる。

 

「大きい息子が3人いるから、仮設住宅だと狭くて、寝るときも大変だったみたいですね。仮設に入居した当時、お父さんを亡くしたお母さんは毎日、泣いていたって聞きました。街も人もなくなって、あのときの陸前高田はひどかった。そんななか、お母さんは一生懸命、朗希たちを育てたわけです」

 

育ち盛りの息子たち。陽子さんは高校時代の佐々木には、体を大きくさせるため、毎日弁当を3つ持たせていた。長男と三男も野球をやっていたため、一家で1週間でお米10キロを消費したという。

 

「お母さんの大変さをわかっているから、朗希も迷惑をかけないようにということは考えていたと思います。礼儀なんかもしっかりしていますから」(前出・新沼さん)

 

長田さんは、高校3年生の佐々木が母と一緒に久々に来店したときのことも話してくれた。

 

「そのときは亡くなったお父さんが好きだった担々鍋などを出しました。ドラフトが終わったらお祝いするからと、そのあと兄弟も呼んで食べさせたこともありましたね。朗希がよく頼むのは生姜焼肉飯だね。大変なのはわかってるから、こっちもいっぱい食べさせたいという思いがあって。

 

お母さんは、たくましく育った息子を見せたいという気持ちがあったみたい。『もう朗希がこんなに大きくなったんだよ』って言ってました。いや、本当に大きいからね(笑)」

 

熱い応援を届ける地元の人々、そして必死に育ててくれた母に報いる大活躍を、佐々木はまだまだ見せてくれることだろう。

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