■20勝50本も翔平ならやれるだろう、異次元の存在とWBCを一緒に過ごして鶴岡さんは実感
「いろいろサポートしてくれて、ありがとう」
優勝が決まった直後にグラウンドで対面したとき、栗山監督がブルペン捕手を務めた鶴岡さんにかけたねぎらいの言葉だった。
「ご自分のメダルを僕の首にかけてくれながら、でした。もう、それだけで十分。
ですから、僕もあとで金メダルを授与されましたが、首にはかけずに飾っておこうと決めました。だって、選手たちからのいただきものなのですから」
その選手たちとの出会いも、一つ一つが印象深かったと語る。
「村上選手のすごいのは、不振が続いたなかで、ベンチでもまったく弱気な一面を見せなかったこと。23歳の若さで、あの立ち居振舞いは、やはり大物だと思います。
佐々木朗希投手(21)は、ブルペンでもすごい球を投げていた。ダルビッシュ、大谷両選手の同じ年ごろのころと比べても遜色なく、どこまで伸びるか楽しみです」
鶴岡さんは、今回のWBCを通じて、日本人メジャーリーガーが残した功績について語る。
「今、WBCを体験した日本の若手選手たちが絶好調ですよね。それは大谷選手やダルビッシュ投手が、WBC後、すぐにふだんの野球生活に戻る姿を見たから。ここで満足してちゃダメなんだということを、肌で学んだと思うんです。これこそ、日本の野球界全体の財産なったと思うんです」
当のメジャーリーガー二人の今後については、
「ダルビッシュ投手は、この先40代を迎えても現役でやるのですから、技術的に円熟しながら、どんなピッチャーになるのか楽しみ。 大谷選手については、今後、彼がどんな数字を残しても驚かない。20勝50本も、翔平ならやれるだろうと、それくらい異次元の存在だというのを、今度のWBCを一緒に過ごしてきて実感しました」
そして最後に、
「3年後のWBC。求められるハードルはさらに上がるでしょうが、今回の若手もまだバリバリやっている選手ばかりのはず。必ずや、さらに強い侍ジャパンが見られると思うので、僕も裏方を務めた一人、野球ファンの一人として今から楽しみです」