「野球は民主的なスポーツ」12歳の少年が教えてくれた原点…ナイジェリア代表・日本人監督が挑むロス五輪への道
画像を見る ガーナのナショナルチーム監督だったころの友成さん(写真:本人提供)

 

■野球で育てる「生きる力」

 

J-ABSが広げているのは、野球の普及そのものではない。野球を通じて、規律、尊重、公正さ、思いやりといった「生きる力」を育むことだ。友成さんはこれを「ベースボーラーシップ(R)教育」と呼ぶ。

 

たとえばキャッチボールでは、相手に声をかけ、相手の状態を見て投げる。自分の都合だけでなく、相手を受け止める力が必要になる。

 

さらに友成さんが重視するのが、野球特有の「考える時間」だ。

 

「2時間の野球のゲームで、実際にボールが動いているのは10分程度だといわれています。残りの時間、選手は予測し、準備し、結果を確認しているんです。

 

この考え方はふだんの生活にもつながります。練習に時間通り来るには、雨、交通渋滞、バスの遅れなどを予測し、どう行動するかを自分で考える必要があるからです。罰で従わせるのではなく、自分で準備する力を育てていくのです」

 

■勝つ相手は「昨日の自分」

 

友成さんは、勝利主義を否定しない。むしろ、真剣に勝ちを目指すからこそ人は成長するという。ただし、勝つべき相手は相手チームだけではない。

 

「もう一つの勝つ相手は、昨日の自分なんです。昨日の自分より今日成長できているなら、それはあなたの勝利であり、チームの勝利なんだと、伝えています」

 

J-ABSが開催するアフリカ各国の「甲子園大会」では、優勝チームだけでなく、スポーツマンシップに優れた選手をたたえる「ベースボーラーシップ(R)アワード」も設けている。勝敗表には残らない姿勢にも、光を当てるためだ。

 

■アフリカは「可能性に満ちあふれた大陸」

 

友成さんが語るアフリカは、多くの日本人が抱くイメージとは違う。若者たちはスマートフォンでアンケートに答え、教育環境も着実に変わっている。「貧しくて可哀想な支援対象」という一面的な見方では、いまのアフリカを捉えきれない。

 

「今のアフリカには、成長できるポテンシャルがめちゃくちゃある。そこに日本の野球教育が貢献できるんです」

 

友成さんが最も胸を躍らせるのは、子どもたちが変わっていく瞬間だ。態度が変わり、学校での評価が変わり、成績が上がる。すると「うちの学校にも野球部をつくろう」という動きが生まれる。野球の普及は、あくまで結果。先にあるのは、人が育つという手応えだ。

 

「野球は単なるスポーツではありません。人を育て、国と国をつなぐ外交ツールにもなるんです」

 

30年前、国境を越えてガーナに来てくれたナイジェリアの若者たち。その友情に導かれるように、友成さんはいま、ナイジェリア代表を率いてロサンゼルス五輪への道に立っている。

 

勝つことを諦めない。同時に、人として成長することも諦めない。一球のキャッチボールから始まった挑戦は、アフリカの大地で人を育て、国をつなぎながら、五輪という大きな夢へ向かっている。

 

画像ページ >【写真あり】ナイジェリアでの「ベースボーラーシップ」セミナー(他4枚)

出典元:

WEB女性自身

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