書評『裸足で逃げる』ー受け止め、寄り添う覚悟(湯浅誠・社会活動家、法政大教授)
2017/02/20 14:00
(写真・琉球新報社)いい香りのする本だ。湿り気のある夜に、すっと風が吹いたときのような。「鈴乃からの手紙には、すとんと風がやむような気配があった」「夜の闇に笑い声が吸い込まれていくような夜だった」--私には、こんな表現はできないなと思って読んだ。「女の子たちのあのさえずるようなおしゃべりや声」は、時に軽めの小説を読んでいるような感覚をもたらす。語られている内容は、どこまでも重い。虐待、暴力、レイプ