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「クルマと異なり免許が必要なく、手軽に乗れることが自転車の魅力です。いっぽうで事故も多く、ひどい場合は命をも失いかねません」

 

そう語るのは、自転車文化センター学芸員の谷田貝一男さん。日常生活で大活躍する自転車。だが、一歩間違えば大惨事を引き起こしかねない。そこで、事故を回避する自転車の選び方や運転方法について、谷田貝さんに8つのポイントを教えてもらった。

 

■自転車選びの基本は「認証マーク」付きで

 

まずは、安全な自転車を選ぶこと。’90年の関税撤廃以来、自転車の低価格化が進むいっぽうで、粗悪品による事故が多発しているという。

 

「自転車を購入する際は、BAA(BICYCLE ASSOCIATION APPROVED)というマークが入ったものを選ぶようにしましょう。これは、一般社団法人自転車協会が定めた認証マークで、90項目もの検査をクリアし、安全基準を満たした自転車に付けられます」

 

■乗車定員は原則1人。幼児の同乗にもルールあり

 

そして、忘れがちだが、自転車の乗車定員は原則1人。観光地などで特別に認められている場合を除き、2人乗りはれっきとした法律違反だ。

 

「ただし、16歳以上の運転者が6歳未満の幼児と同乗することは、例外的に認められています。その際も、幼児座席を装着して6歳未満の幼児1人に限り乗せる、または幼児1人(背負うことのできる幼児の年齢は、自治体によって異なる)を子守バンドなどで背負って乗るというルールが設けられています」

 

■子ども2人を乗せる場合は必ず専用の自転車を

 

では、子ども2人を自転車に同乗させたい場合は、というと、幼児2人同乗用の自転車を利用すること。

 

「すでに多くの都道府県でこの自転車の利用が義務付けられており、適合車には幼児2人同乗認証マークが付けられています。後部座席は22kg、前部座席は15kgまでといった制限重量もあるので、こちらも注意しましょう」

 

■子ども向けの自転車はジャスト・フィットが鉄則

 

子どもの成長は早いぶん、自転車もつい大きめを与えたくなるが、「ぴったりサイズ」が事故を防ぐ。

 

「サドルにまたがったときに、両足がかかとまで地面につく高さのものを選びましょう。また、子どもの手でグリップを握りながらブレーキレバーをしっかり引けるかどうかも、必ずチェックを。最近では、ダイヤルなどでグリップとレバーの距離を調整できる自転車もあります」

 

■13歳未満はヘルメット着用を忘れずに

 

「さらに、13歳未満はヘルメットの着用を。このとき、一度落としたヘルメットは耐久性が落ちているため、絶対に使用しないようにしましょう」

 

■シニアはとにもかくにもふらつきを抑えること

 

いっぽう、シニアは腕力が弱くなり、ふらつきやすい。

 

「シニアは自転車のインチ数を少し下げ、重心を低くしましょう。また、自転車をこぎだすときのペダルの位置が若い人に比べ低くスピードが出にくいのも、ふらつきの原因です。高い位置からしっかり踏み込むようにしましょう」

 

■前かごが重くなりすぎるとバランスを崩して転倒も

 

「いわゆる『ママチャリ』は、後ろにかごがつけられます。荷物が多い方は、自転車店でかごを設置してもらい、荷物を後ろにも分散しましょう」

 

ただし、後ろに荷物を入れすぎないように。

 

■車道の逆走は事故のもと。面倒がらずに左側通行を

 

そして、自転車は左側通行であることを忘れずに!

 

「右側通行で道路を走っていると、駐車車両を避けようと車道の中央に出た際に、対向車とぶつかる危険性が高いだけでなく、左側通行を守っていた自転車が右側通行の自転車を避けようとして車道の中央に出てしまい、クルマに追突されるリスクも高まります。右折時に左側通行の自転車と衝突する危険性もあるので、逆走は絶対にやめましょう」

 

たかが自転車、されど自転車。ルールとマナーを守って、安全運転を心がけよう。

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