「そもそも人間の脳は楽をしたいと考えるクセを持っていて、じつは流されやすい。それは深く考えすぎるとエネルギーを消費し、疲れるからです。お金の使い方にしても、あまり損得を考えず、知らず知らずのうちにムダ遣いをしてしまっているのは、この脳のクセに気づいていないことが原因なのです」
こう語るのは、『そのお金のムダづかい、やめられます』(文響社)の著者で、菅原脳神経外科クリニック院長・菅原道仁先生。菅原先生によると、ムダ遣いをしたくなる脳のクセを知っていれば、お金は自然と貯まるという。そこで、私たちが日常生活で陥りやすいムダ遣いの罠を挙げてもらい、処方箋(対処法)を伝授してもらいました!
【ストレスがたまると、つい買い物をしてしまう】
「とくにムシャクシャしているときは冷静な判断ができなくなる。そんなときに、『アッ、これいいな〜』と瞬時にひらめいたり、出合ったりすると、ドーパミンが大量に出て、つい衝動買いをしてしまうんです。そして家に帰り、冷静になったときに、『何で買ってしまったんだろう?』と、後悔することに……」
処方箋:すぐに買わないこと。
【行列を見ると、つい気になって並んでしまう】
「人間は大衆心理に左右されやすい。これは損をしたくない、失敗したくないと思う『バンドワゴン効果』といわれているもので、周囲に合わせることで安心してしまう。それから『ハロー効果』と呼ばれる、『有名人がすすめていたから間違いない』という思い込みも関連します。人間は他人と自分を比較して生きているので、先に体験したことを自慢したくなるのです」
処方箋:人の意見をうのみにしないこと!
【旅先で友人がお土産を買うと、一緒に買ってしまう】
「友人から『せっかく来たんだからこれも買うべきよ』『ここでしか買えないのよ』とあおられ、別に欲しくもないものをついつい余計に買ってしまうのが、よくあるケース。いわゆる“釣られ買い”です。結局、家に帰っても食べないまま冷蔵庫の中に入れっぱなし、なんてことは?」
処方箋:気持ちが大きくなっている旅先では、勢いで買わないこと!
【通常価格に赤線が引かれ、値下げされている値札に弱い】
「たとえば通常価格1万円の商品が5,000円になっていたとします。その値札には価格が対比できるように、値下げ前の価格が残してある。これは店側が仕掛ける“値札のトリック”。わかりやすく“半額”になっていることで脳が反応し、ちょっと欲しいものが、かなり欲しいものとして、上書きされてしまうのです」
処方箋:安くなるのにはそれなりの理由がある。本当に自分が欲しいものなのかどうか、しっかり判断すること!
最後に菅原先生はこうアドバイスする。
「いまはモノが売れない時代。売る側は知恵を絞ってモノを売ります。だから買う側も知恵を使うことです。まず反射的にものを買うことはやめる。自分の人生にとって、本当に必要なものかどうか、よく考えてからお金を使うクセをふだんからつける。これがムダ遣いをしない最大のポイント。それができればお金は貯まっていくはずです」