「2年前、自立歩行ができない要介護4の父のために『N-BOX+スロープ仕様』を買いました。操作がしやすく、妻が車いすに乗った父を簡単に車内に入れることもできるのでとても便利です。購入後、ドライブ好きの父を乗せて外出する機会が大幅に増えました。父も明るく元気になって、喜んでいますね」
そう話すのは、北海道在住のユーザー・遠藤司さん(56)。いま介護をする側の家族たちから、注目を集めているのが“福祉車両”だ。車いすに乗っている人を簡単に乗せることができる福祉車両。介護の負担を大幅に軽減できると、需要は年々伸び続けている。
なかでも、主婦をはじめとした女性に人気なのが、軽自動車の福祉車両だ。じつは各自動車メーカーから人気車種の福祉車両が続々発売されている。モータージャーナリストの佐藤篤司さんはその利点をこう語る。
「福祉車両はノーマルモデルよりも価格は高くなりますが、車両とオプション部品の消費税が免除となるので、ノーマルモデルとそれほど変わらない値段で購入できます。もともと軽自動車は燃費がよく、自動車税も安いので維持費が少なくてすむ。そのうえ、福祉車両であれば、自治体によって条件や金額が異なりますが、自動車税の減免、ガソリン代、高速代などの優遇サービスも受けられます。さらに、ボディがコンパクトで運転しやすいんです」(佐藤さん)
“福祉軽自動車”は助手席がスライドして、車いすから乗り込みやすくなるタイプ、後部ハッチを空けるとスロープが出てきてそのまま車いすを乗せることができるタイプの2タイプが主流だ。軽自動車といえば窮屈と思いがちだが、最近の軽自動車は、車高を高くした“スーパーハイト系”が主流。
「軽自動車=狭いというのは、完全に過去の話。むしろ、背の高い軽自動車は介助するための十分な車内空間を確保できます。また、各メーカーが安全性能の向上に取り組んでいて、自動ブレーキなどの最新の安全装置はほとんどの車に装備されています。女性は介護の現場で主役になりがち。それを考えれば、運転が楽で、経済的な負担も少ない軽自動車は福祉車両にうってつけです」(佐藤さん)
家族の介護のために、外出が減ったというあなた。ぜひ、“福祉軽自動車”をきっかけに、家族みんなで外出する喜びを思い出してほしい。