(写真・神奈川新聞社)
相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が刺殺され26人が重軽傷を負った事件で、殺人容疑で送検された元施設職員の容疑者(26)が施設を襲った際、職員に特定の入所者の所在を確認しようとしていたことが31日、捜査関係者への取材で分かった。標的を絞って強い殺意を示す一方、同容疑者が殺害計画を途中で断念したとみられることも判明した。
捜査関係者によると、同容疑者は東棟1階から侵入した後、夜勤の女性職員を殴り結束バンドで縛って鍵を奪い、特定の入所者の名前を挙げて居場所を尋ねた。職員が答えずにいると、諦めてその場を立ち去ったという。
その後、次々に入所者を刺しながら1階フロアを西へ移動。西棟奥の階段で2階に上がり、東側への移動を試みたが、実際には入らず施設を出た。東棟2階には同容疑者が在職中に担当していたエリアがある。ただ、捜査関係者はあえて侵入を避けたのでなく、何らかの事情で断念せざるを得なかったとみている。
同容疑者は午前2時50分ごろに施設を出た直後、ツイッターにあらかじめ用意していたとみられるスーツ姿の写真と「世界が平和になりますように」などのメッセージを投稿。その後コンビニに立ち寄ってトイレに入り、午前3時すぎ、施設から約7キロ離れた津久井署に出頭した。
捜査本部は31日、21人体制で同施設を現場検証した。県央地域では、犠牲となった19歳の女性入所者の葬儀が行われ、養護学校の恩師や同級生、施設関係者らが出席した。
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