(写真・神奈川新聞社)
相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が刺殺され26人が重軽傷を負った事件は2日、発生から1週間となった。現場の献花台には障害者らが次々と訪れ、犠牲者を悼んで静かに手を合わせる姿が絶えない。入所者は今なお事件の傷跡が残る環境での生活を強いられ、先の見通せない不安な避難生活を続けている。
津久井やまゆり園には事件後、90人の入所者(2日午前9時現在)が残る。このうち約40人は体育館や食堂などに布団を敷いて寝泊まりする日が続く。散歩や軽作業といった日中活動や浴室の利用も制約されたままで、生活改善に向けた対応は急務となっているが、施設の機能が回復する時期の見通しは立たない。
「清掃して物理的に使えるようになることと、利用者が使えることは違う」。佐久間信哉県保健福祉局長は7月29日、事件再発防止等対策本部の会議後、施設の機能回復について「相当慎重に考えていきたい」と話した。
体調不良を訴えている入所者はいないというが、普段とは異なる環境で入所者をケアする職員の負担も大きく、指定管理法人の別施設からの派遣で人手を補っている。他の施設から職員派遣の打診もあるが「利用者の特徴が分からなければすぐにケアをすることは難しい」(県)のが実情だ。
現時点で入所者のうち16人が帰宅したが、もともと家庭での支援が難しいため入園していたなどの事情もあり、一時的となりそうだ。一度は帰宅したが、その後再び園に戻った人もいる。
他の施設へは、現時点で14人が移動した。だがやまゆり園では、職員が時間をかけて入所者と信頼関係を築いてきた。数の少ない重度障害者の入所施設から利用者に合った場を探すのは容易ではない。
県は居室以外で過ごしている利用者たちを、担当職員とともに別の屋内施設に移すことも検討中。だが入浴施設や職員の通勤が可能なエリアかどうかなど「クリアしなければならないハードルがたくさんある」(県幹部)という。