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(写真・神奈川新聞社)

 

総務省消防庁が女性消防士の採用に力を入れている。本年度に初めて、学生を対象に仕事の魅力を伝えるイベントを全国8都市で開催。4日には横浜で開く。同庁消防救急課は、「女性が増えると、住民サービスがより向上する」と、市民目線での体制充実に女性の力が欠かせないとみる。

 

同庁が学生向けにこうしたイベントを開催するのは初めて。8月から12月にかけて、北は札幌から南は福岡までで実施し、延べ700人近くの学生が参加する見込み。横浜会場で講演する市消防局消防司令の京屋範子さん(40)=同市港南区=は「消防士は市民への対応が多く、もっと活躍する女性が増えてほしい」と話す。

 

同庁によると、全国16万人いる消防職員のうち女性は4,035人(4月現在)。2.5%にとどまる。1986年の男女雇用機会均等法の施行以後、徐々に門戸を開いてきたが、いまだに男性職場のイメージが強い。

 

一方で同庁消防救急課は「最近増えている救急出動で、女性が救急車で搬送された際、救急隊員が女性で安心したといった声が上がっている」という。しかし女性の採用に関してはこれまで、ポスターや会員制交流サイトでの発信、啓発などにとどまっていた。

 

県内最大規模となる横浜市では、消防職員約3,500人のうち女性は126人(3.6%)。警察などと比べて割合が低いことから、昨年3月に全国に先駆けて女性限定就職セミナーを開催。同市消防局がモデルとなった小説「消防女子!!」をコンセプトとしたもので、今年も2回開いた。

 

京屋さんは1997年に入局し、青葉消防署荏田消防出張所では12人を束ねる所長も務めた。救命隊の経歴が長く、「救急法を教えた一般の人が、心肺停止に陥った人を蘇生させたときはうれしかった」と振り返る。

 

消防士は誰かのために役立っている充実感を味わえるといい、中でも女性の担い手を求める。「女性を救助する場合だけでなく、電話での救助の要請でも女性だと相手に安心感を与えられる」

 

京屋さんは4月から市消防訓練センターで指導に当たる。今年は初任教育生163人(うち女性23人)が入校。半年間の教育を終え、現在、各署を回り、フォローに当たる。「女性もこれまで以上に楽しんで働けるような環境をつくっていきたい」と意気込む。10月から青葉消防署に勤務する金澤麻衣さん(22)は「判断もはっきりし、憧れます」と京屋さんに信頼を寄せる。

 

横浜市西区のパシフィコ横浜でのイベントは、4日正午~午後3時。講演会の後、県内ほか近県の消防本部20ブースが並び、話を自由に聞ける。女性の消防職員に気軽に質問できるコーナーもある。午後3時半からは、横浜市南消防署の見学会も開かれる(事前予約制)。問い合わせは、運営主体のマイナビ・電話080(9024)3428。

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