(写真・神奈川新聞社)
横浜市神奈川区の大口病院で入院患者2人が死亡した点滴連続殺人事件は23日、未解決のまま特別捜査本部設置から半年となる。特捜本部は院内事情に詳しい人物が関わった疑いが強いとみて、病院関係者を中心に捜査を継続。ただ、容疑者に結びつく物証が乏しく、慎重に捜査を進めている。
特捜本部によると、延べ6,646人の捜査員を投入。使用済みの注射器や点滴袋など大量の医療廃棄物を押収し鑑定を進めているほか、看護師や出入り業者など病院関係者延べ1,627人から事情を聞いた。
同病院では、昨年9月18日と同20日に、いずれも88歳の男性が中毒死し、遺体からは殺菌作用が強い界面活性剤を検出。2人が入院していた4階のナースステーションには、界面剤を含む消毒液「ヂアミトール」があった。
当時院内に防犯カメラはなく、4階ステーションに保管されていた点滴は誰でも触れられる状態だった。さらに、保管されていた未使用の点滴約50袋のうち、約10袋でゴム栓の保護膜に注射針で開けたような穴を発見。死亡した2人以外の患者に使用する予定だった点滴の一部からも界面剤が検出されたことなどから、無差別に異物を混入した疑いもある。
一方、横浜市は事件前、「看護師のエプロンが切り裂かれた」「漂白剤らしき物が混入された飲み物を飲んで被害に遭った」などと病院に関する情報をメールや電話で4件受けていた。
市の対応を検証する第三者委員会が今月、報告書案をまとめ、迅速な事実確認を怠った市の消極的な対応を「医療の安全管理に関わる者として不適切」と厳しく指摘。市は第三者委から情報の緊急、優先度の振り分けなどを求められており、対応指針を今後策定する方針だ。
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