事故の位置関係。沖縄本島の北側に「YORON」(ヨロン)と与論島が記されている。その右下の白い丸が「IMPACTPT](インパクトポイント)と記され、空中給油機のホースとオスプレイが接触した場所。地図右側の三角形に突き出た区域は米軍の訓練区域(水域・空域)「ホテル・ホテル」(米軍の事故報告書より)
【東京】米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが昨年12月に名護市安部の浅瀬に墜落した事故に関し、米政府が強風や後方乱気流など「困難な気象条件下」での空中給油中の「パイロットのミス」だったと結論付ける事故調査報告書をまとめた。防衛省が11日、公表した。米軍が当初は「墜落(crash)」と連絡していたことも手書きのメモで判明した。また、事故現場は当初、安部の海岸から約74キロ離れた公海上の訓練空域「ホテル・ホテル」としていたが、訓練区域ではない与論島沖約15キロの海上だったと訂正した。さらに同様事故が2例目だったことも明らかになった。
政府はことし1月、オスプレイの全面的な飛行再開を容認した際、米側の説明に基づき「空中給油でこのような接触が発生したのは今回が初めて」と説明していたが、2015年にも米カリフォルニア州で発生していた。同様事故が2例目だったことも明らかになった。機体については「不具合または整備不良が事故要因となる兆候はなかった」と安全性を主張した。当時はヘリモードに転換し正常に着陸したという。
飛行再開を容認した政府の判断の前提が覆るのではないかとの指摘に、防衛省担当者は「基本的な事実関係、再発防止策は変化しておらず、判断を変える必要はない」と主張した。
報告書などによると、16年12月13日夜、空中給油訓練中に発生した。当初、所属部隊と隊員は当日の飛行リスクを「低」と評価、空中給油訓練時も毎秒約10~15メートルの北風が吹き「困難な気象条件下」だったが、訓練は可能な状態だった。
MC130空中給油機の給油口が揺れ、オスプレイは給油口への接続を何度か試みたが一度も接続できなかった。その後、パイロットが出力を上げすぎたためにオスプレイの右のプロペラが給油口に接触し損傷、機体が不安定化したことで着陸時のヘリモードに転換できず「制御した緊急着水」したと位置付けた。
在沖米軍は11日、在沖米軍トップで第3海兵遠征軍のローレンス・ニコルソン司令官が富川盛武副知事をキャンプ瑞慶覧に呼び、事故原因の概要を説明した。
日米地位協定見直しの要請で上京していた翁長雄志知事は11日、防衛省で記者団の取材に応じ「パイロットの責任にしている。オスプレイの欠陥は言わないようにしているのではないかというふうにしか取れない」と指摘した。