新聞配達犬のゴン太君に感謝状と記念品を贈った、琉球新報販売店主の國吉真信さん(左)と飼い主の上原恵子さん=12日、糸満市阿波根(上原修撮影)
【糸満】朝刊届けるワン! 毎朝午前6時ごろ、沖縄県糸満市阿波根のシェパード犬「上原ゴン太君」=5歳3カ月、体重約30キロ=は、自宅の門扉から琉球新報をくわえて玄関までの約30メートルを駆け抜け、飼い主の上原恵子さん(69)に届けている。
生後3カ月ごろから始めて約5年。雨の日も風の日も、一日も欠かさず新鮮な情報を配達している。
◆生後3ヵ月で新聞配達
飼い主の上原恵子さん(69)とゴン太の出会いは5年前、糸満市のシオン警察犬訓練所だった。引っ越しを機に番犬をほしいと思っていたところ、生まれたばかりのゴン太と出会った。今ではかけがえのない家族の一員だ。
生後3カ月ごろ、ポストに新聞を取りに行くと「自分で取る」と訴えるゴン太。「駄目」と言っても新聞をかむので、くわえさせた。新聞はよだれだらけになってしまったが、ゴン太は「自分の仕事」といわんばかりにくわえていた。上原さんは配達員の山城教子(のりこ)さんに相談し、新聞をビニール袋に入れ、門扉の下に立ててもらうことにした。
以来毎朝、「ゴンちゃん、おはよう」と上原さんが玄関を開けると、庭の小屋から飛び出して来るゴン太。「新聞取って来てちょうだい」の一声で一目散に門扉に走り、新聞をくわえて戻ってくる。たまに上原さんが寝坊した時は、玄関に新聞が置かれている。
うっかり休刊日を忘れて新聞を請求すると、門扉まで走ってそのまま戻ってくるという。「新聞はどうしたの?」と叱りながら休刊を思い出し、「ごめんね」と頭をなでて謝るそうだ。
ゴン太はとても利口で、一度教えるとほとんど覚えてしまう。庭の手入れの時は「スコップ取って」「ビニール袋取って」など上原さんの要望に応える。言葉があまりに通じるので「あなたは本当に犬なの?」と話し掛けることも。立派なボディーガードも務める大切な家族の一員だ。
ゴン太の働きをたたえ、糸満市の琉球新報阿波根前原販売店の國吉真信店主(52)が12日、「文句も言わず、新聞配達業務に長年従事された」と感謝状を贈った。うれしそうに褒美のおやつをクンクン嗅いだゴン太。今朝も情報がたっぷり詰まった朝刊を上原さんに届けたことだろう。(豊浜由紀子)