沖縄県庁
沖縄県の名護市教育委員会は17日までに、中学1年の男子生徒が麻疹(はしか)にかかったとして、感染拡大防止のため16日午後から20日まで学級閉鎖にすることを決めた。県教育庁によると、3月下旬からの感染拡大以来、はしかによる学級閉鎖は初めて。県地域保健課は17日、新たに4人の感染が判明し、患者は計56人になったと発表した。
名護市教委によると、男子生徒は11〜12日ごろ発熱し、12日に医療機関で受診したが、はしかは陰性だった。その後は学校を休み、16日に再び医療機関を訪れたところ、はしかと診断されたという。
男子生徒には中学生の兄と小学生の弟がいる。兄弟に発熱などの症状はないものの、16日から出席停止の措置がとられている。県によると、名護市では男子生徒以外に9人の感染が判明している。
新たに感染が判明した4人は、浦添市の30代女性、南部管内の30代男性、糸満市の20代男性、宜野湾市の0歳女児。浦添市の女性は職場内で感染した可能性があるという。医療機関内での感染が疑われる例もあり、保健所が詳しい感染源を調査している。
観光への影響も広がっている。県観光振興課によると、沖縄への旅行を予定している人などからの問い合わせが増加。ホテルや旅行業者への聞き取り調査で、17日までに127人のキャンセルが確認された。県内ホテル大手のかりゆしの當山智士社長は「家族旅行が多いゴールデンウイークにも影響が出る可能性がある」と話し、警戒感をにじませた。
◆識者談話◆
「はしか“0”プロジェクト委員会」の具志一男委員長
今回の流行は、海外ではしかに感染した外国人観光客が発熱して感染力が強い時期にあちこち巡って、たくさんの人がうつってしまった。観光地や商業施設での流行というのは、これまであまりなかった。はしかは抗ウイルス薬がなく、予防接種が大切だ。今は接種に重点を置く時期。インフルエンザと違って流行の型に合わせて何度も打つ必要はない。きちんと接種しておけば、今後も安心できる。
1991年以降に生まれた人は定期予防接種を2回受けられる制度になっているが、それより上の世代は基本的に1回しか接種していない。抵抗力が低いため、今回の流行でも20〜40代の発病が目立つ。50歳以上は自然感染があった世代で、ほとんどが免疫がある。まれに感染をすり抜けた人がおり、そうした人が今回かかってしまったと考えられる。
今回、2回接種した人の感染例も報告されている。予防接種は100%ではないがリスクは減らせる。実際、2回接種して感染した人たちは他の人より症状が軽かったと聞いている。接種に意味がないということはない。