空前のママさんタレントブームが到来している。かつて一世を風靡した、梨花や益若つばさなどのトップモデルから辻希美や藤本美貴などのアイドルまで、ここ数年で数々の芸能人が”ママタレ”と呼ばれるようになった。
単にメディアに露出するだけでなく、プロデュース商品もバカ売れしている。神田うののウエディングドレスやタイツ、千秋のベビー服ブランド、小倉優子のジュエリー……など挙げれば切りがない。いまや、ママタレは経済まで動かしている一大集団なのである。
「今の時代、夢を語る広告を打っても、商品は売れません。ターゲットを絞った広告が求められることに加え、女性向けの製品が多くなっている。そこで主婦の共感を得やすい”ママさんタレント”を起用することが増えてきました」
そう話すのは大手広告代理店CMクリエーターのA氏。バブル絶頂の’90年に有名広告代理店に入社し、これまで数々のCMを手がけ、業界分析に長けている敏腕クリエーターだ。
「ママタレは、女性のシンデレラストーリーを体現している一面もあります。紗栄子はダルビッシュと、東原亜希は金メダリストの井上康生と結婚したことで有名になりました。それまでの知名度は高くなかったので、『もしかしたら私も……』と身近な憧れの存在としても感じられますからね。嫉妬の感情から、紗栄子さんは同性受けがよくないようですが……」
ママタレ増殖の背景には、送り手側の事情もあるという。
「これまでは、アイドルやグラビア卒業後の身の振り方に困っていました。そこで、ママさんタレントというカテゴリーが浮上。辻希美、藤本美貴、小倉優子、乙葉……みんなママタレという鉱脈を見つけられなかったら、『あの人は今』という存在になっていてもおかしくないでしょう」
また、A氏は化粧品の発達もママタレブームの大きな要因の一つだと語る。
「昔なら、30歳を超えるとシワが目立ち始めることもあり、女性タレント自体が姿を消していた。今は”美魔女ブーム”が起こるなど、熟女がもてはやされる時代。メーク技術の向上と無関係とは言えないでしょう。世間やCM製作者の需要と、事務所の供給がうまく一致し、時代にうまく乗った結果、ママタレは広告界で躍進してきたのです」