「『先生、発言してよろしいですか?』という綾の台詞を、ニューヨークの親友たちがまねしているそうなんです」
そう照れ笑いするのは、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で常子(高畑充希)の女学校の親友で、名家のご令嬢・中田綾役の阿部純子(23)。
小学校時代にモデルとしてデビュー、10代から映画のヒロインに抜擢され、’14年の主演映画『2つ目の窓』(河瀨直美監督)では海外の映画祭で主演女優賞を受賞した。同年8月から単身アメリカの名門、ニューヨーク大学演劇科へ留学。現在は慶應義塾大学の学生……と、素顔も役柄の綾とシンクロして超エリート!
「留学したのは、海外の大きな映画祭に行かせていただいたときに英語の必要性を感じたことと、もっと広い世界を見たいと思ったのがきっかけ。大学の試験で、英語でモノローグ(一人芝居)を演じましたが、アメリカの学生って感情表現豊かで、ジェスチャーも大きいんですよね。でも教授からは『日本人らしさ、文化の違いをそのまま活かせばいい』とアドバイスをいただき、いい経験になりました」
留学中には、俳優・渡辺謙の活躍ぶりに勇気をもらったという。
「ブロードウエーに渡辺さんの『王様と私』を見に行ったのですが、もう本当に感動して、あやかりたい!と思いましたね。渡辺さんがニューヨークでも、いつもお米を食べていると聞いて、それからは私もおにぎりを食べるようにしました(笑)」
そのニューヨークでも、NHKの連続テレビ小説は放送されている。
「お世話になった日本人のご家族が、いつも楽しみに見てらしたんです。世界中で勇気を与えているドラマに、私も参加したいって思いました」
そんな折、『とと姉ちゃん』のオーディションがあると知った阿部は、締切り寸前にニューヨークから応募。
「母がドラマのモチーフとなっている大橋鎭子さんの著書を送ってくれました」
そしてつかんだのが、常子の親友・綾の役だ。
「綾さんは、おしとやかなお嬢さん。自分の軸を持って、まっしぐらに進むところは似ているかもしれませんが、私は抜けているところも多いですし、人見知り。最初の撮影では緊張で脚が震えました。そんなとき、高畑さんがスタジオで私の肩をポンッと押してくれたんです。うれしかったな〜。今はお土産を持ち寄ったりして和気あいあい。高畑さんも私も大阪出身なので、『常子さんや綾さんまで大阪弁になったら面白いよね』なんて話したりしています」