家族ぐるみの付き合いがあった故・永六輔さん(享年83)と故・大橋巨泉さん(享年82)だが、生き方は違った。それは遺産の内容にも表れている。
「永さんは一年のほとんどを旅に出ていました。夫の長旅の間に奥さんが『転居先は○○です』と張り紙をして引っ越したこともあったとか(笑)」(前出・テレビ局関係者)
巨泉さんに先立つこと5日、先月7日に永さんが亡くなった後、娘でフリーアナウンサーの永麻里さん(54)は会見でこう語った。
「粋でいなせで、恰好良い父でした。でも本当に照れ屋なので、言いたいことも手紙で書く。それを私たちの、部屋の前に置いて行って……」
永さんの「言葉の力」は家族を励まし続けた。自身が作詞した、膨大な楽曲の印税もまたしかり。
「代表曲『上を向いて歩こう』、松田聖子、宇多田ヒカルなど約260人が楽曲利用登録しています。その他300超の曲も、演奏、カラオケなどで使用されるたびに、永さんに印税が発生しました。今後は相続者である二人の娘さんに支払われます」(音楽関係者)
その額、年間約7千万円にも上るという。この他、渋谷区内の二軒の家、原宿駅前にあるマンションの資産価値は、総額で推定3億円を超える。
これに対し巨泉さんは妻の壽々子さん(68)と四六時中一緒の生活。一方で、先妻・マーサ三宅(83)との間にもうけた二人の娘、大橋美加さん(56)、豊田チカさん(55)にも惜しみない愛情を注いだ。チカさんは、先月、本誌の取材にこう語っている。
「05年の最初の胃がんの手術のとき付き添った“母”(壽々子さん)に『僕が死んだらチーコ(チカさんのこと)に、愛してるって言っといて』と伝えたそうです」
90年のセミリタイア宣言後は夫人とカナダ、ニュージーランド、オーストラリアを巡る生活を続けた。過去には海外に不動産を持ち、豪放な生き方をしてきたように見えるが、実際は堅実だった。
「株投資はしたことがありません。預貯金が多いですが、それは(テレビ界で活躍した)現役時代に蓄えた財産です」
と、かつて事務所が説明していた通り、推定4億5千万円ほどになるという遺産の大部分を占めるのは、コツコツためた約4億円の預貯金だ。
「相続は壽々子さんが半分。残りを、長女の美加さんと次女のチカさんが4分の1ずつ分けます」(芸能関係者)
永さんと巨泉さん。生き方は違っても共通するのは、妻・子供ら、家族への深い愛情。その愛が、これからも遺族を守って行くだろう――。