「発汗によって失われるのは水分だけではありません。汗にはナトリウムやカリウムなどのミネラルが含まれていますが、汗をかくと特にマグネシウムが減ってしまいます。それが突然死につながる場合もあります」

 

こう警告するのは、順天堂大学医学部教授で自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生だ。猛暑で危ないのは、熱中症だけではなかった。そもそも現代人はマグネシウムが不足しがち。これはストレスや睡眠不足が原因といわれているが、マグネシウムが不足すると、神経伝達が弱くなり、臓器が正常に働かなくなってしまうそうだ。

 

「さらに、カルシウムの代謝も悪くなり血管壁に沈着。血管が痙攣(けいれん)し血流がストップしてしまい、不整脈や心筋梗塞、脳梗塞の発症の引き金に。コレステロールも上がり、血栓もできやすくなってしまいます。突然死は、このマグネシウム不足が原因という場合もあるのです。発汗による脱水症状とマグネシウム不足のダブルパンチは、血流の大敵です」

 

また最近、話題になっているのが、熱中症と腸内環境の関係だ。せっかく水分をとっても、腸が動いていないと吸収されず、尿としてそのまま排出されてしまうという。

 

「汗の原料は血液ですから、発汗によって大量に失われた水分が補給されないと、血流はドロドロに。水分の補給と併せて、腸内環境も改善していきたいですね。そして、水分の吸収力を上げること。自律神経と腸内環境は相関関係にあるので、規則正しい生活で自律神経のバランスを整えましょう」

 

先生がとくにオススメするのは、ウォーキングや半身浴。現代人の9割は交感神経が過剰な状態だが、これらはともに副交感神経を活性化するそうだ。オススメの食品もある。

 

「マグネシウムが豊富に含まれているのは、玄米や雑穀、そば、海藻や大豆、魚介類など。これらの食品には食物繊維が豊富なものも多いので、腸内環境も改善できて一石二鳥です。中高年になるとマグネシウムの吸収力自体が落ちてきますので、より意識的に摂取してください」

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