「血糖値が正常な人に比べて、かくれ高血糖の人の死亡リスクは2倍になるといわれています。体内の活性酸素の増加などにより、がんの発症リスクも上がります。また、多量のインスリンのために脳内の不要なタンパク質を分解する働きが低下し、アルツハイマー型認知症にもなりやすくなる。かくれ高血糖は単なる糖尿病予備軍ではなく、すでに立派な病気なのです」
そう指摘するのは“血管の名医”池谷敏郎医学博士だ。4月28日発売の著書『健診・人間ドックではわからない!かくれ高血糖が体を壊す』(青春出版社)でも、見つけにくい高血糖に警鐘をならしている。そもそも糖尿病と“かくれ高血糖”との違いとは?
「糖尿病は空腹時でも血糖値が高いので健康診断で見つけることができますが、かくれ高血糖では、食後2~3時間で血糖値が急上昇し、急下降する“血糖値スパイク”が起こるため、健康診断では血糖値の高さが発見できません」(池谷先生・以下同)
血糖値の急激な変動により、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中などを起こしてしまう。近年急激に増加し、日本人女性の3人に1人が、かくれ高血糖にあてはまるそう。
「見た目は若くても、血管の中は“メタボ親父”という女性が増えているんです」
あなたも知らないうちに、かくれ高血糖に--!?そこで、次の「セルフチェックシート」でチェックしてみよう。
【1】食後は、ほとんど体を動かさない
【2】座っている時間が1日8時間以上ある日が多い
【3】脚の筋肉が弱く、片足立ちで靴下をはくのが難しい
【4】朝食を食べない日が週に3日以上ある
【5】炭水化物(ごはん、パン、めん類)が好き
【6】食事はごはん(米)、パン、めん類から食べ始めることが多い
【7】1日にとるカロリーのうち、6割以上を「1回の食事」でとっている
【8】食後に甘いもの(フルーツを含む)が食べたくなる
【9】食後、眠くなることがたびたびある
【10】イライラしたりストレスを感じたときや、ひと仕事終えたとき、甘いものが食べたくなる
【11】間食にチョコレートや甘いものを食べることが多い
【12】睡眠不足だ
【13】休日に寝だめをしてしまう
【14】20歳のころより10キロ以上太った
【15】おなかだけポッコリ出ている体形である
【16】空腹時血糖値が110mg/dl以上、もしくは食後血糖値が140mg/dl以上か、HbA1cが5.6以上である
1つでもチェックがあると「かくれ高血糖」の恐れあり!なかでも、14、15および16はどれも、かくれ高血糖の疑い大だ。
「かくれ高血糖は内臓脂肪の蓄積と関係します。14、15は内臓脂肪が満タンで、心臓や肝臓など本来は脂肪がつかないところについた状態。また健康診断で糖尿病が見つからなかった人も、16の数値はしっかりチェックしてください。このチェックシートで1つでもあてはまるものがあるなら安心できません。チェックが1つ増えるごとに、危険度はさらに高まります」