引っ越しや子どもの進学、自分自身の復職など、新しい生活がはじまるこれからの季節。新生活への期待に胸をふくらませる半面、毎日の家事に、ある“やっかい”な存在が加わることに頭を悩ませている人も多いのでは。そう、お弁当作りという名の苦行が加わることに……。
そんな悩める主婦にとって心強い味方になりそうな一冊が『つくおきのじみべん』(光文社)だ。
「つくおき」とは、IT関連の会社にフルタイムで勤務する中でnozomiさんが考案した料理スタイルで、1週間分のおかずを週末にまとめて作り置きするというもの。もともと家事と仕事を両立する中で生まれたものだけに、共働き家庭を中心に爆発的な支持を集め、書籍化されたシリーズは最新刊までの累計で100万部を突破した。
同書はそんな「つくおき」をお弁当に応用したもので、実際に会社にお弁当を持参していたnozomiさんならではのアイデアが満載。献立の作り方から、弁当箱に詰めるときのポイント、調理のタイムスケジュールまでが丁寧に解説されている。
1週間分のお弁当のおかずを土日に作り置きしているnozomiさん。ただ漫然と晩ごはん兼用のおかずをまとめて作っているわけではなく、そこにはこれまでの「つくおき」生活から編み出されたルールがあるという。
そのルールが、どんなおかずをどのように詰めるか、それをパターン化してしまうこと。そうすれば日々のお弁当作りで迷うことがなくなり、多忙な毎日でも負担が少なくすむというわけだ。
「私の場合は“おかず3品プラスごはん”が基本。肉や魚を使ったメインのおかず1品と、野菜を使った副菜2品をローテーションでバランスよく詰めるようにしています。いろいろな形のお弁当箱を使ったことがありますが、形が違っても、詰め方をパターン化させているので、そのつど詰め方に悩むということはありませんね」(nozomiさん・以下同)
なるべく無理なく、1週間分作り置きをするための品数は、主菜が2〜3品、副菜が6〜7品、調理時間は90分が目安だそう。ごはんは多めに炊いて1食分ずつ冷凍しておくと手間が省ける。鍋やフライパン、電子レンジを並行して使いながら効率よく調理すれば、それほど苦にはならないという。
毎日お弁当を作っているとどうしても似たようなメニューになりがちだが、nozomiさんは「それでもよしとするのが“じみべん”のいいところです」という。見た目は茶色っぽいものが多くて地味だが、それを飽きさせないように工夫を凝らすのが“じみべん”のキモ。
そこで出てくるのが、「彩りは赤と緑の2色が加わればOK!」というルール。赤はミニトマト、緑はゆでたブロッコリーや青菜があればなんとかなるという。
「にんじんやトマトケチャップを使ったおかずも彩りになりますし、梅干しやパプリカのおかずも活躍します。ブロッコリーは硬めにゆでて、水分をよくきっておくこと。これは大事なポイントです」
ミニトマトやゆでたブロッコリーは、調理の手軽さに加え、差し色としても、隙間の調整役としても重宝する名脇役なのだ。
そんな“じみべん”5日ぶんのおすすめ作り置きメニューを紹介。これ全部、週末90分の作り置きだけというから驚き!
【味つきハンバーグ】フライパンで調理時間30分
たねにしっかりと味をつけたお弁当仕様のハンバーグ。どんなお弁当箱にも入れられる便利な万能おかず!
【鶏むね肉の甘酢ケチャップ】フライパンで調理時間20分
ケチャップベースのほどよい酸っぱさがごはんに合う、かんたん鶏肉料理。赤色の彩りとしてもおすすめ。
【サバのごま衣揚げ】フライパンで調理時間15分
ごまの香ばしさがおいしいごま衣揚げは、見た目も食欲をそそる。晩酌のおともとしても重宝しそう。
【切干し大根はりはり漬け】電子レンジで調理時間10分
ポリポリとした食感がおいしい漬け物のアレンジレシピ。火を使わず簡単に作れるうえ、日持ちも長め。
【ゆでブロッコリー】片手鍋で調理時間5分
通年で手に入り栄養価も高い野菜の優等生。ゆでるときにサラダ油を1滴たらすと仕上がりの色がきれいに。
【さつまいものオレンジジュース煮】片手鍋で調理時間30分
オレンジジュースで煮込めば、甘味と酸味がいいバランスに。色みがきれいなので彩りのアクセントにもなる。
【小松菜のわさび風味おひたし】片手鍋で調理時間10分
わさびをアクセントに利かせてさっぱり感アップ。なんてことないおひたしも工夫次第で飽きない味に。
【ちくわとこんにゃくの煮物】片手鍋で調理時間30分
ちくわからよいだしが出るので、調味料は少なめであっさり仕上げに。調理時間が短いうれしいレシピ。
【ベーコンとピーマンのチーズ炒め】フライパンで調理時間10分
もう1品おかずが欲しいな……というときにおすすめ。親しみある味に仕上がる秘密は粉チーズ。
「1週間のお弁当のおかずを選ぶときは、連続で同じおかずにならないようにしますが、日持ちの加減や気分によっては同じおかずが続くことも。意外と飽きないものですよ。おかずによっては辛いソースやゆずこしょう、わさびなどを足すこともあります」