「保護者会の会長に就いて2年目になるような人が犯人だったなんて。いったい、誰を信じればいいんですか」
千葉県我孫子市の排水路にかかる橋の下で3月26日、ベトナム国籍で小学3年生の女の子、レェ・ティ・ニャット・リンちゃん(9)の遺体が見つかった。4月14日、死体遺棄容疑で逮捕されたのは、近所に住む自称・不動産賃貸業でリンちゃんが通う小学校の保護者会会長を務める渋谷恭正容疑者(46)だった。
同じ松戸市内の小学校に7歳の女児を通わせている母親は、冒頭の言葉に続けて「本来なら子供を助けるべき味方のはずが……絶対に許せません」と憤りを隠さない。しかし取材を進めると見えてきたのは、子供が2人いる渋谷容疑者の「イクメン」の“顔”だった。
「長男は中1、長女はリンちゃんの1学年下のはず。その2人とも子供が保育園のときには朝、彼が子供の手を引いて通園させる姿をよく見かけました。自宅は東武野田線の六実駅前にあるビルの最上階。親の代に建てたビルをオーナーとして管理しているので時間があるのか、子供の面倒をよく見る子煩悩な人だったように思います」(自宅近所の住人)
リンちゃんの遺体は両親の母国で埋葬されるため2日に空路でベトナム入りしていたが、このとき遺族の帰国費用を募る募金を呼びかけたのも渋谷容疑者だった。事件後も通学路のパトロールをして、子供たちに「気をつけるんだよ」と声をかけていたという証言もあった。いっぽう、私生活ではこんなエピソードも。
「そもそもちゃらんぽらんなんです。管理しているマンションも築22年なのに修繕もしていないのでは。屋上の広告塔も錆びついて危ないまま」(容疑者の知人)
「線路の向こうに自分のキャンピングカーを止めっぱなしにしていて、雨ざらしでも平気なようでした。お金があるから無頓着なんですかね」(同じ町内の主婦)
渋谷容疑者がそのキャンピングカーにリンちゃんを連れ込んだ疑いがあるとの報道があった。別の報道ではかつて勤務していた飲食店の同僚のこんなコメントが紹介されていた。
「小さな女の子を見ると、かわいいって。ほかの客だとそんなことをしないのに、かわいい女の子の客が来ると、そそくさと注文を取りに行っていましたね」
“悪夢の素顔”ともいうべき内面は、隠そうと思っても隠しきれなかったようだ。人懐っこくて地域の人気者だったリンちゃん殺害について、渋谷容疑者は現在のところ取り調べには黙秘を貫いているという。
「『子供と関わりたい』と自分から手を挙げて保護者会の会長に就任したのも、何か目的があったからでしょうか。恐ろしくて体の震えが止まりません」(近所の住人)