11月26日、NHK杯で2位以下に大差をつけて優勝し、グランプリファイナル進出を決めた羽生結弦(21)。しかし、勝利までの道のりは決して平坦なものではなかった。スケート関係者はこう話す。
「数字ほど楽な戦いではありませんでした。体調に問題があり、羽生は札幌入りしてからずっと不安な様子だったんです」
11月22日夜、札幌に到着した羽生の首には、ネック・ウォーマーが巻かれていた。
「練習が終わったあとも軽く咳き込み、熱があるとの情報が伝わっていました。彼は少しでも油断するとすぐ風邪を引いてしまうんです」(スポーツ紙記者)
さらに、4回転ジャンプの着地で昨年痛めた右足の甲をかばうあまり、腰痛が再発したのでは、との声も聞かれていた。
「当初は公開練習が予定されていましたが、羽生は突然これをキャンセル。コンディションに問題を抱えているのではないかとの情報がマスコミの間を駆け巡ったんです」(前出・スポーツ紙記者)
しかし、そんな羽生が頼りにし、不安を払しょくする“秘密兵器”が2つあったという。11月24日の早朝練習。バスに乗り込む羽生の耳にピカリと光るものがあった。秘密兵器のひとつめ、白い象牙のイヤホンだ。羽生は30種類を超えるコレクションから、遠征には常に8種類ものイヤホンを携行していると言われている。
「中でも象牙のイヤホンは、1年前のNHK杯で世界新記録をマークして優勝したときに肌身離さず持っていた、いわば験の良いイヤホン。『夢よ、もう一度!』という自己暗示も込めて、今回の札幌でも身につけていたのでしょう」(前出・スケート関係者)
2つめの秘密兵器には母親の由美さんが関係している。小さいころから感情の起伏が激しく、呼吸器の不安を抱えていた羽生の身の周りの世話は、常に由美さんが行ってきた。
「繊細な彼ですから、大いちばんの舞台の直前ともなると、体調管理も大変です。大会数日前から微熱が出たり、食事も喉を通らなくなったり。ひどいときには、嘔吐を繰り返しながらリンクに立っていたこともありました」(前出・スケート関係者)
そんな羽生のため、母が大一番の前になると、手作りする料理がある。
「それは由美さん特製のお粥なんですね。羽生本人も『大会前はお米を食べないと力が入らない』と常々話しています。このお母さんしか作れない特製粥は、まさに羽生にとっては秘密兵器であり勝負メシなんです」(前出・スケート関係者)
象牙のイヤホンと母のお粥。秘密兵器の“神通力”で、グランプリファイナル進出を決めた羽生。4連覇にもこの2つは欠かせないようだ。