昔は貧乏学生やバックパッカーたちが集うイメージがあったシェアハウス。だが、今では若者向けのものから高齢者向けのものまで、需要別・世代別に、さまざまな形態のシェアハウスが登場しているという。
千葉県千葉市稲毛区にある”スマートコミュニティ稲毛”は、56〜89歳、平均70歳の人々が入居する高齢者向けのシェアハウス。住居棟のマンションと共用スペースであるクラブハウスが別棟になっているため、プライベートと共用部屋がしっかり分けられている。’10年4月にオープン、現在約330名のアクティブシニアが暮らしている。
ここでは月々の支払いに朝晩の食事代も含まれているため、食事を作る手間がない。朝食は種類豊富なビュッフェ形式、夕食には週3回も老舗日本料理店『なだ万』の懐石風御膳が並ぶ。入居者の福井澄子さん(76)はシェアハウスでの暮らしぶりをこう話す。
「主人が5年前に亡くなり、1年くらい前に入居しました。ここでできた友達も大勢いますし、食事も一人じゃないのは心強いです。いくらご近所さんと仲よくしていたとしても一軒家よりやっぱり安心。24時間、有人警備をしてくれていますしね。これだけ人が集まると人間関係が大変だとは思いますが、私には合っていますよ。こちらで催されるソフトヨガや陶芸などの教室にも参加しています。毎日忙しいですね(笑)」
夫婦で入居している武田宏治さん(75)と博子さん(66)は、’12年1月に結婚した新婚カップル。
「私は妻を7年前、彼女は13年前に旦那を亡くし、再婚同士なんです。私はここのオープンとともに入居しました。友人の紹介で彼女と知り合い、2カ月弱で結婚したんですよ」(宏治さん)
ここでは買い物や料理をしなくても、自分の好きなことができるため、結婚を機に宏治さんが博子さんに入居を勧めたそうだ。
「初めてここに来たときは、ホテルみたいだなと感激しました。朝晩、食事の準備をしなくてもいいのは、主婦をしていた女性にとっては天国ですね」(博子さん)
最初にスマートヴィレッジ稲毛の部屋を分譲マンションとして購入し、月々食費や共益費として8万9,000円を払う仕組みにとなっている。今では毎月20〜30人が入居し、内覧だけでも毎日約10組が訪れる人気ぶり。50歳から入居可能だ。