第二次世界大戦の終結から70年という、大きな節目を迎えた’15年。そこで、本誌は戦後70年に読みたい作品を、著名人に薦めていただきました。

 

「単に1人の日本人として或は子を持つ親としての危機感を言葉にしていく」

 

7月19日、ツイッターで安保法案関連について言及した、元格闘家の高田延彦さん(53)。’14年8月には、読破したばかりのマンガについて、感想をツイートしている。

 

「やはり知らないことばかりでした。第二次世界大戦にまつわる事、もはや知っておかねばならないことばかりと痛感の連続です」(原文ママ)

 

今回、戦争を知るための1冊として取り上げたのも、その『凍りの掌』(おざわゆき著)だ。

 

「この話は、戦争が終わった直後に始まるんです。異国の地で、あっという間に絶望の入口へ吸い込まれてしまった、70万人もの日本人……。この事実を『シベリア抑留』と呼ぶことは知っていましたが、読んでみれば、やはり知らないことばかりでした」

 

同書は、第二次世界大戦末期に満州の関東軍へ補填兵として送られた主人公が、終戦後にシベリアへ送られ、過酷な4年間を生き抜いて故郷へ帰るまでを描く。第44回日本漫画家協会コミック部門大賞を受賞した。シベリアに抑留された日本人は、一説には76万人以上ともいわれ、今も37万人が未帰還となっている。

 

「著者は、まえがきの中で、『「絶望」という名の恐怖です。未来というものが真っ黒に塗りつぶされる様なはてしない「絶望」です』と記しています。読みながら何度もその絶望をイメージしてみようと試みたのですが、到底、あのような状況を思い描くことはできませんでした」

 

高田さんは「この国の平和に対する風向きが変化しているのは素人でもわかる!」と、SNSを中心に発信を続ける。「政治の素人」を自認しているからこそ、毎日、複数のメディアに目を向け、多忙な合間に読書を欠かさない。

 

「最近はカントの『永遠平和のために』を読んだり、数十年ぶりに『はだしのゲン』を読み返したりしています。今回、推薦する本に選んだ『凍りの掌』を含め、戦争の悲惨さを知る材料として、ずっと手元に置いておきたいですね」

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