「8月に4つの台風が上陸・接近したのは観測史上初めてのこと。それまでの長雨と重なって、道内の多くの河川が氾濫。にんじん、玉ねぎ、じゃがいも畑に濁流が流れ込み、収穫を控えた作物は壊滅状態です。収穫を終え、出荷しようとしていた作物もあったのですが、流通網が遮断されてしまいました。畑から水が引かないことにはどうにもなりませんし、今後の天候によっては、さらなる高値も考えられるでしょう」(札幌中央卸売市場・寺島寛樹業務課長)
秋の味覚が高騰している。実りの秋を迎えた北海道を相次いで襲った台風の被害で野菜価格が暴騰。全国の食卓を直撃している。秋の味覚を代表するサンマの高騰も止まらない。8月末から水揚げが始まったが、品薄で高止まりしている。
「サンマの漁場に8月だけで6度も台風が接近したこともあり、海がしけて、出漁機会が激減。漁獲量が大幅に減りました。9月に入って形のいいサンマも揚がってきているので、これから安定して出荷できるとは思いますが……」(根室振興局・水産課)
そんな、値上がりする(している)「秋の味覚」を、平年価格との比較と関係者の話を交え紹介。
【玉ねぎ】1.8倍に!
全国2位の佐賀県産に病気が流行。6割を生産する北海道では収穫目前の畑が冠水。「作物を運ぶ列車の運休もあり、供給量が減っている」(JAきたみらい)。Lサイズ3個入りが平年なら150円が300円に。
【なす】2倍に!
「これからおいしくなる秋なすが、1袋2〜3本入りで200円。これでも赤字覚悟。去年なら100円だったのに……」(都内「スーパーイズミ」五味衛社長)。台風9号から続く長雨と強風により生産地に被害が。
【まつたけ】1.5倍に!
「松を枯らすマツクイムシの発生、残暑で地温が下がらないこと、さらには生産地で雨量が少なかったことで生育が心配」(まつたけ専業の藤原儀兵衛さん)。残暑が長引くと平年よりも3〜5割も価格が上がる可能性も。
【くり】1.3倍に!
全国2位の生産地・熊本が地震でダメージを。1位の茨城も台風10号で被害。「強風で、早生のくりは畑の半分以上が落果」(くり農家の羽持隆夫さん)。今後の天候次第ではあるが、違う品種の収穫に期待が高まる。
【サンマ】3〜4倍に!
「資源量が減ってきているうえ、中国や韓国などによる排他的経済水域での乱獲、相次ぐ台風により操業できないことが要因」(根室振興局)。平年なら1尾100円が300〜500円。天候次第で、今後も値上がり傾向に。
【秋鮭】1.5倍に!
「台風10号により定置網やふ化場が壊滅状態に。見通しがたちません」(岩手県さけ・ます増殖協会)。北海道でも台風の接近、上陸により出漁機会が激減。「天候に恵まれれば、値は下がっていくはず」(北海道漁連)
秋の食卓を彩る食材の高値はいつまで続くのだろうか。