「母は奈良県大和郡山市の出身で、祖父は薬師寺に勤めて、仏像の研究をしていました。幼いころからよく仏像を見に連れて行ってもらっていたので、以来、仏像が大好きなんです」
そう語るのは、仏像に造詣の深いサンキュータツオさん。漫才コンビ「米粒写経」のツッコミとして活動しながら、一橋大学の講師も務める、史上初の講師芸人だ。
京都と古都奈良の間、京都府南部の「南山城」と呼ばれる木津川流域には、奈良時代から平安時代以来の伝統を守り伝える古刹が多く点在する。風光明媚な南山城は、当時の貴族たちの憧れの、祈りと癒しの聖地だった。今回、この地に伝来する寺院十数カ所の、国宝2件を含む仏像や仏画など、文化財140件が京都国立博物館で公開されこととなった。
「南山城は山深く、まだ山に神さまが宿っていると考えられていた時代の仏さまがたくさん残っています。よくお寺の『縁起』などに、坊主が光っている地面を掘ると仏像が現れたなどという『逸話』がありますが、そんな“ファンタジーが生まれた時代”の仏像なんですね。南山城には、技術が最高潮だった時代の仏像が多くかたまって残っているんです」(サンキュータツオさん・以下同)
だからこそ、じっくり鑑賞してみたい仏像たち。そこで、サンキュータツオさんに『仏像鑑賞を楽しむための5カ条』を講義してもらった。
【1】ファッション・ショーを見る気持ちで楽しもう!
「自分の第一印象でいいんです。見た目で判断してください。服もどんなものを着ているのか、キレイなのか、カッコいいのか、自分の感覚で楽しみましょう」
【2】同じポージングをしてみよう!
「フツーじゃない美しいものが、仏さまです。ぜひ、その前に立ち、同じポーズをしてみてください。フツーの人間とは違うので、実際に同じ形をとったときに、姿勢が難しかったりして、人間離れしているのを体感できます」
【3】アクセサリーに注目しよう!
「アクセサリーをつけている仏さまも多いのです。何を手にしているのか、それがセンス的にどうなの?と、ピーコになったつもりでチェックしてみましょう。ちなみに徳の高い仏さまほど、装飾はつけません」
【4】表情も見逃すな!
「仏さまは、『半眼』という、起きているか寝ているかわからないような目をしていて、どこから見ても目が合うといわれています。ぜひ、『仏さまと目が合った〜!』体験をして帰ってきましょう」
【5】仏像界の役職をチェック
「仏像界を、一つの会社にたとえると、悟りをひらいた如来さまが社長として座っています。部長は観音さまで、立っていることが多く、たまに座っています。菩薩もここに入ります。そして、毘沙門天などの天が課長ですね。平社員には、人間から仏になった聖徳太子などが入ります」
みなさんも、いざ実践してみよう!