夏休みもあとわずか。いまだ自由研究に手付かず、というお子さんとパパ・ママに「緊急レスキュー、今からでも間に合う夏休みの宿題」をお教えしよう。
科学の魅力を子供たちに教えている、「はまぎんこども宇宙科学館」の甲谷保和先生は言う。
「自由研究は、好きなことや興味のあることに“科学の視点”を少しだけ取り入れればいい。自分の立てていた予想どおりなら、答えは正しかったのだから、次に進む。もし予想が外れたら、なぜそうなったのか、新たな予想を立ててもう1度チャレンジしてみる。成功、失敗ではなく、望んでいない結果になったとしたら『新しい知見を得たことになる』と考えたらいいのです。それが科学実験です」
甲谷先生が紹介する面白実験でつかうのは100円ショップなどで手に入るものばかりだ。
☆「錯視」を利用して手品をしよう!
「この自由研究は、友達を前に手品のように披露して、『どうなっているのか?』とみんなで考えてもらう形で発表すると盛り上がります。低学年なら、工作だけでもOK。ねじれや錯視、補完する脳の現象と働きまで考えさせるのは高学年です。人間の脳みそは、あるいくつかの条件が重なると、だまされやすくなる。それが『ねじれ』。手にとってみると、こんなに簡単なのかと思うことでも、だまされてしまうのです」
先生は目の前で「メビウスの輪」を作ってくれた。紙テープを1回ひねってからリング状にしたもの。
「これを真ん中から1回切ると、どうなるでしょうか?2回、3回と切っていったら?あらかじめ予測を立てて、切っていきましょう。そして、ずっと輪を切り続けていくにはどんな大きさからスタートしたらいいかも、考えてみましょう」
☆皿回しで宇宙の法則を考えよう!
「皿などを高速で回すことで、皿と棒が垂直になるよう保とうとする遠心力が働きます。皿が十分な速度になると、安定して回っているようになります」
このことを踏まえて、次のようなことを調べてみよう。
〈1〉自分の身の回りで、回転することで安定した動きになっているものは?
〈2〉皿回しと、それを回す棒の長さには、何か関係があるのか?
〈3〉皿を右に回すほうが得意な人と、左に回すほうが得意な人がいるのはなぜ?
「自転車やオートバイなど、二輪車も同じ原理、そして、地球の自転も同様です。ジャイロ効果ともいわれ、宇宙とも関連しています。これが私たちの生活を支えているということになります」
☆ブラックライトで、身の回りの光るものを探そう!
「私たちの身の回りには、蛍光剤を使用して作られたものがかなりありますが、日常では気が付きません。そこで部屋を暗くしてブラックライトをつけてみると、いろいろな『光るもの』が見つかります」
蛍光剤の入ったものは、ブラックライトの光に反応する。部屋の中で何が光るか、間取り図を描き、光ったものの写真や絵を貼り付ければ、もうそれは立派な科学実験。さらに、なぜ光るのか?といったことも調べてみよう。
最後に、自由研究をわかりやすくまとめるコツを甲谷先生が教えてくれた。
「みんなの前で発表したり、壁に貼ったりするため、大きな模造紙に実験の内容をまとめましょう。調べたことはノートやスケッチブックに記録。どうして実験しようと思ったのかという目的、動機も記入。そして実験の日時や場所、手順を必ず明らかにして、自分なりの結果の予測を。最後に、実験してわかったことを書きます。また、楽しかったこと、驚いたことを自分の言葉で書いてみましょう」