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警視庁によると、昨年の全国の交通事故死者数は前年より4人増え、15年ぶりに微増したが、事故件数は12年連続で減少。いっぽうで、高齢ドライバーがかかわる事故は増えており、’05年には総件数の10.9%だったが、’14年には20.4%と約1.9倍になった(警視庁)。高齢ドライバーの事故はいまや、社会問題なっている。

 

「そんななか、高齢者に運転免許証返納を勧める動きがあります。免許証を返納して、『運転経歴証明書』を発行してもらうと、銀行などで身分証明書として使えるだけでなく、さまざまな特典が受けられるのです」

 

そう語るのは経済ジャーナリストの荻原博子さん。では、どんな特典があるのか?荻原さんが解説してくれた。

 

「まず、免許証を返納して真っ先に困るのは移動手段でしょう。ですから、車に代わる公共交通の費用を補助する自治体が多いです。新潟市では、市内在住で免許証を返納した65歳以上の方に、タクシー券1万円分や、バスのIC乗車券1万円分などから好きなものが支給されます。ほかにも、運転経歴証明書を提示すれば、区バスは半額、市内のタクシーは1割引きで乗車できます」

 

群馬県館林市では、70歳以上の返納者に「免許返納タクシー券」として500円券の24枚つづりが支給される。また、千葉県南房総市のように、運転経歴証明書を提示すると、市営バスの半額や協賛するタクシー業者が1割引きになるなどは、多くの自治体で実施している。

 

「次に自治体は、高齢者の生活に寄り添った補助が行える協賛企業を募り、お得なサービスを増やしています。たとえば、公共交通機関を使って出かけると、買った商品を持ち帰るのが大変です。そこで三越伊勢丹や高島屋などは、自宅への商品配送料が無料になります」

 

協賛店では、買い物や食事、サービス費用などの割引がたくさん用意されている。はとバスの5%引きをはじめ、日帰り温泉施設の入浴料金、美容院代など、各自治体が作る協賛リストを見ているだけでも楽しくなる。お住まいの自治体にお問い合わせを。

 

「さらに、定期預金をすると、最初の1年間は優遇金利が受けられる金融機関もあります。たとえば、福島県の会津信用金庫の運転免許証自主返納者応援定期預金『思いやり』は、65歳以上の返納者の1年ものの定期預金利率が、店頭金利に0.5%上乗せされます。愛媛県の伊予銀行は、返納者の年齢制限はなく、金利は0.3%上乗せ。東京シティ信用金庫も同様に0.225%上乗せです」

 

「まだまだ現役」という気持ちはよくわかるが、何かあってからでは遅い。家族の心配を考え、冷静に勇気ある決断をするのが、若い証拠ではないだろうか。

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