台風が立て続けに発生している。15日には沖縄県の久米島近海で18号が発生し、沖縄本島地域がいきなり強風域に入った。8月に入ってから発生した台風はこれで6個目となる。
ここ最近、話題になっているのが、台風につけられたユニークな名前たちだ。
18号は「ルンビア」。マレーシア各地に分布するヤシ科の植物「サゴヤシ」を意味する。
8日に発生した14号は「ヤギ」、13日に発生した16号の「バビンカ」はマカオの言葉でプリンを意味し、SNS上では「台風もキラキラネームの時代か」「プリンてなんかおいしそう」などと投稿が相次ぎ、盛り上がりを見せた。
■140個の名前を順番に採用
台風に名前を付けるのは、同時に複数発生した場合に台風情報が混同するのを避けるためや、台風への関心・防災意識を高める目的があるとされる。
では、バリエーション豊かなネーミングはどこからきているのか。
実は、台風の名前はあらかじめ決まっている。全部で140個あり、順番も決まっている。
気象庁によると、日本を含む14の国と地域が加盟する「台風委員会」が2000年から、北西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風に、加盟国が提案した名前をつけることになったという。第1号はカンボジアでゾウを意味する「ダムレイ」だった。
台風の年間発生数の平年値は25・6個なので、おおむね5年で名前が一巡する計算になる。
ちなみに、それ以前は米軍の合同台風警報センターが命名する英語の人名が付けられていた。当初は「ジェーン」「キティ」など女性名だけだったが、災害を起こす台風が女性名だけなのは不公平だと、1979年から男女の名前を交互に付けるようになり、アジア太平洋諸国で組織する台風委員会で「なじみのある言語の方が防災意識が高まる」との意見が出てアジア名の採用が決まったという流れだ。
■日本は星座名
14の国と地域が名付けた名前は個性豊かで、一覧を眺めているだけで興味深い。
例えば日本は「テンビン」や「ウサギ」など星座名で統一している。これは、台風情報に関心が強い船舶関係者が星座に詳しいからだといわれている。
香港は山の名前が3回も出てくるし、旧空港名という独特のネーミングも面白い。
ミクロネシアは「伝統的な部族長の称号」や「伝説上の首長の護衛兵」「ヤップ島の石の貨幣」を意味する言葉を用い、日本では考えつかないような名付け方だ。
国と地域に関わらず最も多いのは女性・少女の名前(伝説も含む)で9個。植物や動物の名前、嵐や雷など自然現象を表す言葉も多い。
■時には例外も
気象庁によると、台風の名前は140個の中から繰り返し使われるが、大きな災害をもたらした台風は台風委員会加盟国からの要請を受けて、それ以後は使用しないよう他の名前に変更することがある。
また、熱帯低気圧が東経180度を超えて移動した後に台風に発達した場合、前の領域で名付けられた名前を継続して使うため、140個のラインナップにはない名前がそのまま使われることがあるという。