ユニマットのグループ企業で、リゾートホテルやゴルフ場経営などを手掛けるユニマットプレシャス(東京、高橋洋二会長)が、沖縄の事業を独立させ、新会社の本社を宮古島市に設置することを検討していることが11日、分かった。プレシャスの2017年度の売上高は289億円、そのうち沖縄の事業は約120億円を売り上げている。経営する宮古島のシギラリゾートは24年度末までに客室総数を6千室に増やす計画で、売上高1千億円を目指している。宮古島市に本社を置く最大の企業が誕生する。
プレシャスの本社は現在、東京都港区南青山のユニマット青山ビルに置いている。既に新会社を設置しており、準備が整えば、沖縄の事業を移す計画という。新会社の名称は「南西楽園リゾート」を予定している。
宮古島市上野周辺で経営するシギラリゾートは約100万坪の敷地内にホテル6施設、総客室数827室、総収容人数は2140人。25カ所のレストランがある。
現在、同リゾート内で新たに3ホテルを建設しており、19年春に「ホテルシギラミラージュ ベイサイド」(120室)、19年夏に「ホテルシギラミラージュ ヒルサイド」(40室)、19年内に「ホテルシーブリーズカジュアル2期」(仮称、150室)の開業を予定している。
これで客室数は1137室に増える計画。さらに「シギラ」「アラマンダ」などのラグジュアリーホテルを拡充し、カジュアルホテルも増やす予定で、20年度末に2千室、24年度末に6千室を目指し開発を進めている。八重山郡でも現在3ホテルを経営しているが、さらに2カ所の開発計画を進めている。
ユニマットプレシャスの入江康文副社長は「今後は宮古島市に法人税も納めることになる。これまで以上に地域に根差し、自治体と一緒に地元の経済発展に貢献したい」と話した。(仲村良太)
〈解説〉急増観光客取り込みへ 高付加価値で滞在促す
ユニマットプレシャスが宮古島市で、ホテル客室総数6千室の提供を目指すなど大規模な開発を進めているのは、直近の5年で3倍近くに急増する見込みの観光客を確実に取り込み、さらなる増加も見据えての対応だ。
宮古島市の入域観光客数は13年度は40万391人だったが、17年度は98万8343人、18年度は11月までに86万5981人に達し、100万人超は確実視され、110~120万人をうかがう。
同社は、旺盛な観光需要に加え、潜在需要はまだあるとみる。19年3月末に下地島空港のターミナル施設が開業することで、さらに観光客が増加すると思われる。これらの状況に合わせて、経営するシギラリゾートでMICE施設や全天候型アクティビティの整備、チャペルの増設を計画する。これまでの宮古島観光に付加価値を付けることで、滞在長期化につなげたい考えだ。
取り組みによって、同社は観光収入が増加して地域経済が活性化し、市民所得が上昇、さらには若年層の流出を食い止めるという好循環を生み出すことを目指している。ただ、人手不足や開発の遅れが生じることも懸念される。離島が抱える問題解決の一助となり得る計画の今後に注目が集まりそうだ。(仲村良太)
◆MICE建設も計画 リゾ婚チャペルも四つに
宮古島市に本社の設置計画を進めているユニマットプレシャス(高橋洋二会長)は同市上野周辺のシギラリゾートに、大型MICE施設や世界的なリゾート地にある大型ショッピングセンターの整備も計画している。リゾート内のチャペルも四つに増やし、年間2千組のリゾートウエディングを見込み、今後も需要をみながら増やす計画だ。
シギラリゾートは敷地面積が約100万坪。同社によると、ホテルやレストランのほか、温泉やレンタカーショップなど12店舗も運営している。現在活用されているのは約30万坪で敷地の多くが開発されていないという。そこで、沖縄本島よりもアジアの経済圏に近いという地の利を生かし、コンベンションセンターを建設して高付加価値の観光リゾートを提供したい考えだ。また、ハワイなど世界各地のリゾート地のように大型ショッピングセンターの整備も目指している。
利用客がリゾート内でいつでも楽しめるように全天候型の施設整備も計画している。ウオーターパークやアドベンチャーパーク、水族館、熱帯野鳥園、植物園など天候や季節にかかわらず楽しめるリゾートを目指している。