2010年那覇市であげた結婚パーティー 画像を見る

 

2009年、夫と事実婚をし「未届けの妻」になった私。結婚後もずっと「伊是名」の名字を使いたかったので、婚姻届は出さないことを選んだのです。戸籍ではできませんが、住民票では妻になることができ、一つの家族になることができます。那覇市で住民票を提出したのですが、手続きも簡単。婚姻届のような証人もいりません。

 

でも妊娠をした時、子どもを非嫡出子にするか悩みました。私だけの戸籍のままで子どもを生むと、私が事故などで亡くなった時、親権が自動的には夫にいきません。また出生届も、夫が出す場合は代理届も一緒に出さないといけません。ハイリスクな出産だったので煩わしいことを避けたく、出産前に婚姻届を出すことにしました。婚姻届を記入する時、離婚届も一緒に記入。出産後すぐに離婚をするためです。でもいろいろな事情が重なり、出すタイミングを逃し、6年が経過しました。

 

病院でも市役所でも、戸籍通りの夫の名字で呼ばれるので、いつも違和感が。自分の名前という実感がありません。子どもは夫の名字なので、保育園、幼稚園の先生方からも、夫の名字で呼ばれます。自分を偽っている感じがしていました。

 

仕事ではできる限り「伊是名」を使いますが、それもややこしい。どこかしら、いつも夫や子どもに合わせている気がしていました。意を決して、離婚届を提出し、事実婚に戻ることにしたのです。

 

離婚後、私は夫の生命保険の受取人になれないので、息子に変更したり、相続に関する遺言書を作ったりしました。区役所の弁護士にも相談しました。

 

そして先月、離婚届提出! 戸籍を出す窓口で「夫婦別姓を通すため、離婚をし、事実婚にします。住民票では未届けの妻でお願いします」と伝えると、係の人は、ぽかん。何度説明しても「私には分かりかねます。住民票の窓口で確認してください」の一点張り。「夫婦別姓が話題になる今、私たちのような事実婚も増えるかもしれません。勉強してください」と伝える私。私の勢いに押されたのか、係の人も調べてくれ「住民票では未届けの妻と記載することができます」と言ってくれました。

 

戸籍の担当者が知らなかっただなんて、夫婦別姓はまだまだ広まっていないのですね。でも裁判も起こる今、新しい風は吹いています。私の事実婚も、その一歩になるでしょう!

 

祝ペーパー離婚! 正真正銘の伊是名夏子、再び!! 本当にうれしいです。偽りのない、ありのままの私をよろしくお願いします!

 

(次回は16日掲載)

 

伊是名夏子
いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2019年4月2日 琉球新報掲載)

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