6月27日の開業が発表となった大型商業施設「サンエー浦添西海岸パルコシティ」は、沖縄県内各地からのアクセスが容易な好立地と、国内外の人気ブランドがそろう豊富なテナントで集客を図り、既存の商業施設との差別化を図る。米軍キャンプ・キンザーの返還が進めば浦添西海岸の発展が見込まれ、サンエーパルコの上地文勝社長は「沖縄の中心の場所になるはずだ」と期待を込める。
パルコシティには国内外の人気ブランドなど、県内初出店の94店舗を含む250店舗が入居する。全国でファッションビルを展開するパルコ(東京都)のネットワークを生かして出店が実現したブランドもあるといい、上地社長は「ファッションから身の回り品まで多くの店舗が集積した」と自信をのぞかせる。
一方で、7月11日にはコンビニ国内最大手のセブン―イレブンが沖縄に進出するほか、既存の大型商業施設との競合が予想される。サンエーは那覇メインプレイスや宜野湾コンベンションシティなど近隣エリアに大型店舗を構えており、上地社長は「一時的にはいくらかの影響は出るはずだ」と認める。
それでも、県内人口や観光客は今後も増加する可能性が高いことから「将来的には(影響が出た分を)吸収できる」と県経済の拡大可能性にも期待を示す。また、車で那覇空港から約15分、那覇港の大型クルーズ船バースから約10分の場所に位置し、観光客を取り込めると見ている。西海岸に面した眺望の良さも強みとして生かし、「西海岸の拠点になれるよう、できることを精いっぱいやる」と、リゾートと融合した商業施設としての展開も視野に入れる。
サンエーと共にパルコシティの事業を手がけるパルコも、沖縄の可能性に着目する。県外ではネット通販の広がりで洋服店が苦戦する一方で、沖縄はまだまだ実際の店舗で衣料品を購入するケースが多いという。パルコの溝口岳氏は「沖縄のマーケットは観光客の消費もある。東京五輪が終わった後でも成長が期待できる」と強調した。
(平安太一)