「年々、水虫に悩む女性が増えています。クリニックにもたくさんの女性が来るようになり、今では、男女比率が1対1くらいですね」
こう語るのは、水虫治療に詳しい「わかばクリニック」(東京・六本木)の廣瀬能華さん。推定患者数は2,500万人。日本人の5人に1人が感染しているといわれている水虫は、ちょうど6月から夏にかけて、患者数のピークを迎える。
一般的に、“おじさん”がサウナや銭湯などで感染するというイメージだが、女性が急増しているのは、健康や美容に気を使う人が増えたことが背景にあるという。
「じつは水虫の原因である『白癬菌』は、温泉の脱衣所など、人が“素足”で集う場所なら、どこにでもいます。近年、スポーツジムやヨガスタジオ、岩盤浴などに行く女性が増えていますが、こういう素足になる場所で過ごすことで、水虫に感染してしまうのです」(廣瀬さん・以下同)
これらの施設に行かない人でも、これからの季節は注意が必要だ。
「サンダルやパンプスなどを素足で履く人も多いでしょう。素足のまま、飲食店の座敷席を歩いたり、お店の共用スリッパを履いたりすると、感染してしまうことがあります。また、どんなに気を付けても、家族が菌を持ち帰った場合、足拭きマットなどから、感染してしまうことも」
なってしまうとやっかいな水虫だが、どうすれば防げるのだろうか。そこで、廣瀬さんが水虫予防の5カ条を教えてくれた。
【1】毎日、足を石けんで洗う
最重要! 水虫は24時間で皮膚に浸透するので、1日1回必ず洗う。乾燥もしっかり。
「菌が付着してから、皮膚に浸透するまで、24時間ほどかかりますから、基本的に1日1回、必ず石けんをつけて足を洗えば、ほぼ水虫は防げます。その際、硬い素材でゴシゴシ洗わないこと。足を傷つけたらそこから菌が侵入する可能性があるからです。手でやさしく足全体を泡洗浄するのがポイントです」
【2】靴下を持ち歩く
靴下を履いていれば、菌が直接足に触れるのを防げる。飲食店の座敷席などでも履くようにしよう。
「靴を脱ぐ場所では、靴下を履くなどして、直接、素足が床に触れないようにしましょう。温泉の浴室などから出たあとも、すぐにタオルで足を拭いて、靴下を履けば、菌がつくのを防ぐことができます」
【3】同じ靴を続けて履かない
履いた靴には除菌・防臭スプレーをかけて、風通しのいいところで乾燥させよう。
【4】3時間に1回、足を外気に触れさせる
長時間、靴を履いている人は、3時間に1回15分ほど、足を外気に触れさせよう。
「ブーツやパンプスといった、通気性の悪い靴を長時間履いていると、中の湿度はほぼ100%に。定期的に、靴を脱ぎましょう」
【5】夫と足拭きマットを別にする
配偶者がジムなどに通っている場合、浴室前の足拭きマットを通して感染することも。
水虫を放置していると、患部から黄色ブドウ球菌などの細菌が入って、感染症を起こす可能性もあるという。
「足を切断したり、全身に菌が回って敗血症(感染症によって生命を脅かす臓器障害)となってショック死した例もあります。とくに高齢者や糖尿病の方は感染症を起こしやすいので、注意してほしいですね」
5カ条を参考に、足を防衛しよう。