練習を楽しむ日本ヘルマンハープかなさあたらさ倶楽部マネジャーの宮里マチ子さん(左端)とメンバーら=10日、那覇市首里石嶺町の県総合福祉センター 画像を見る

 

ダウン症の子どもに、メロディーを自分で演奏できる楽器を与えたいという父親の思いから生まれた楽器「ヘルマンハープ」。その愛好会「日本ヘルマンハープかなさあたらさ倶楽部」が県内で立ち上がり、少しずつ広まっている。同倶楽部マネジャーの宮里マチ子さん(73)=那覇市=は「この楽器は親の愛情から生まれたのが一番の魅力。多くの県民に知ってほしい」と思いを語った。

 

ヘルマンハープが生まれたのは1987年。ドイツ・バイエルン州のヘルマン・フェーさんがダウン症の息子のために開発した弦楽器で、弦の下に敷いた専用楽譜の印の上をはじくことで簡単に演奏できる。

 

日本で広まったのはこの15年ほど。現在、日本ヘルマンハープ振興会の会長で演奏者としても活躍する梶原千沙都さんがドイツ滞在時に出合い、日本国内での普及を一任された。バリアフリー楽器として、国内でも障がいの有無を問わず、老若男女に愛好者が増えている。

 

県内で、かなさあたらさ倶楽部が発足したのは5月。それまで個々で取り組んでいたダウン症児の親や高齢者らがグループとなり、一緒に合奏するなど楽器を楽しんでいる。メンバーの井料友里亜さん(35)=宜野湾市=は「みんなで集まって弾くのが楽しい。次はAKB48の『365日の紙飛行機』に挑戦したい」と笑顔を見せた。

 

同倶楽部は16日午後2時から沖縄国際大5号館106教室で梶原さんを迎えての演奏会に出演する。18日は午前10時から糸満市のこども発達支援センターココイクで演奏を披露する。将来的には介護施設や寝たきりの子どもたちに披露する計画だ。宮里さんは障がいなどがあってもヘルマンハープが社会とつながるツールになるとして「みんなの笑顔が少しずつでも増えたらいい」と語った。

 

(仲村良太)

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