「基地返還の意味があるのか」「恐れていたことが起きた」。2016年に返還された国頭村安田の米軍北部訓練場の跡地への米海兵隊UH1Yヘリとみられる機体の着陸に対し、住民や地元関係者に衝撃と怒りが広がった。
「恐れていたことが起きた」。安田でエコツーリズムに取り組む中根忍さん(62)は怒りをあらわにした。東村高江周辺のヘリパッドが建設されて以降、安田上空では米軍機の訓練が激化し、集落上空の低空飛行が繰り返されている。
国頭村は昨年、集落上空を飛行させないよう沖縄防衛局などに要請した。中根さんは「要請したことが守られていない。実質的な“訓練空域”になってしまっている。今後、集落への着陸も起こりうる」と危機感を示した。
「悪夢がよみがえった」。高江に住む伊佐育子さん(58)は知人の電話で異変を知った。
同地区では17年10月にCH53ヘリが不時着・炎上しただけに「墜落ではないのか、と不安だった」と声を震わせた。ヘリ着陸後の4日午後8時すぎにはオスプレイなど米軍機が複数、高江の上空を飛行したといい、伊佐さんは「演習の一環ではないか」と推し量った。
現場周辺は、「やんばる国立公園」として世界遺産登録を目指す森林地帯。県固有の希少種も多く生息しており、伊佐さんは「こんなことで自然が守れるのか」と憤る。安田に住む安次嶺現達さん(60)は「返還された意味がない。米軍は返還しても使っていいと思っているのではないか」と指摘。「なぜ着陸したのか、緊急性があったのかを説明すべきだ」と求めた。
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