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「過去を振り返ると8人の女性天皇が即位されていますが、一人として女系天皇はいらっしゃいません。男系・父系での皇位継承が行われてきました。2千数百年にわたって男系・父系で継承されてきたからこその天皇陛下です。この伝統を、ひとときの時代の価値観や判断で変えてしまっていいものでしょうか」

 

そう語るのは、自由民主党の青山繁晴参議院議員。天皇陛下が即位を宣明された10月22日の「即位礼正殿の儀」。そこに参列された男性皇族はたったお二人、秋篠宮さまと、上皇陛下の弟で83歳の常陸宮さまだけだった。未成年のため参列されなかった悠仁さまを加えても、現在、皇位継承者はわずか3人しかいらっしゃらないのだ。

 

男性皇族の減少が改めて印象付けられたその翌日の10月23日。青山議員が代表幹事を務める国会議員のグループ「日本の尊厳と国益を護る会」がある提言を発表し、注目を集めた。

 

《旧宮家の男子について、了承いただける方には皇籍に復帰いただけるよう、また現皇族の養子か女性皇族の婿養子となられることがあり得るよう、皇室典範の改正または特例法の制定を行う》

 

自民党の国会議員44人からなる「護る会」は、安定的な皇位継承策として、旧宮家の皇籍復帰を可能とするよう提言したのだ。

 

いわゆる「旧宮家の男子」とは、戦後まもない’47年に皇籍離脱した11宮家の元皇族たちの男系子孫のこと。「護る会」は女性天皇・女系天皇に反対し、旧宮家の未婚男子に皇籍へ復帰してもらうことで、将来の皇位継承者を増やすべきだと提言したのだ。

 

青山議員は、提言の狙いを次のように語る。

 

「悠仁親王殿下の世代では、男系・父系の男子の皇族がお一人になってしまいます。しかし、政府機関による国会質問のための非公式な調査によれば、旧宮家には男系・父系で皇統につながる男子が、10代の方が5人、20代前半の方が2人いらっしゃるのです。ご本人の自由意思を尊重したうえで、この中から皇籍復帰していただければ、女性天皇や女系天皇を認めなくても、皇位継承を安定させることができます。男系維持が女性差別だと見なされないように、「護る会」では『男系・女系』ではなく『父系・母系』という言い方も用いています。現実的には、皇籍復帰した方の子や孫の世代から皇位継承権が付与されることになるでしょう。ご誕生から国民に見守られて成長されることになり、いまの皇族方と同じように国民に受け入れられるはずです」

 

ただ、気になるのは《女性皇族の婿養子》という文言だ。

 

現在、20代の女性皇族は秋篠宮家の長女・眞子さまと、次女・佳子さまのお二人。そして10代は愛子さまお一人だ。佳子さまが《結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています》と述べられたこともあるように、皇族方も私たち国民と同じように、ご自身の意思でお相手を選びたいとお考えなのだ。

 

しかし、この提言がもし採用されてしまえば、皇室の存続のために、たとえば愛子さまが旧宮家の男子と“婿養子”による結婚を強制されてしまう事態にならないだろうか? 青山議員に見解を聞いた。

 

「これはあくまで次の次の世代での提言です。また、どなたかを想定していません。旧宮家の男子が皇族復帰する方法として、養子と結婚がありうるという考え方のひとつを示したものです。古代などと違い現代では、皇族方であっても婚姻の自由は絶対的なものですから、ご本人の自由意思が優先されるべきだと考えます」

 

あくまで、婚姻の自由は尊重されるべきだと語る青山議員。旧宮家の男子の皇籍復帰も、本人の意思を尊重することが前提だという。

 

はたして、10代~20代前半で7人いるという旧宮家の男子のなかで、皇籍に復帰する意思のある人物はいるのだろうか。

 

「旧宮家の方々と静かな環境でお会いしたり、ご本人の意思を確認したりすることは、皇室典範の改正などの法整備のあとに政府が行うべきと考えています。『護る会』としては一切、接触はしていません」(青山議員)

 

だが、仮にこの提言を受けて法整備などが実現したとしても、旧宮家の男子に皇籍に復帰する意思のある人物がいなければ、皇位継承問題の解決にはつながらない。“婿養子”の案は、旧宮家の男子と女性皇族双方に結婚の意思がなければ実現せず、さらにハードルが高そうだ。

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