米大リーグのシアトル・マリナーズでメジャー契約締結に向け鍛錬を積む県勢選手がいる。砂川ジョセフ・オブライエン投手(22)=北中城高―米・サザンネバダ大出=は最速156キロの速球に5種類の変化球を武器に、大学時代は三振の山を築き、2018年のドラフトで指名された。昨年12月に帰省し、自主トレーニングに励んでいる。19年まではけがで結果を残せていない。ことしは「日頃お世話になっている人のため、早くマウンドで活躍したい」と3月からアリゾナ州で始まる春季キャンプでのアピールを誓う。
大学時代は打撃力でも注目された。188センチ、102キロの恵まれた体格は大リーグでも引けを取らない。18年6月のドラフトは、30球団が1214人を指名。そのうち砂川はマリナーズから6巡目指名(全体178位)だった。
18年はマ軍傘下のウエストバージニアパワーでプレー。だが同年8月、入団前から違和感のあった右肘の靱帯(じんたい)を試合で損傷し、手術を受けた。思うような成績が残せず「なんで毎日こんなことやってるんだ」と連日のリハビリに嫌気が差すこともあった。
そんな時支えてくれたのが沖縄の家族だった。両親とはほぼ毎日電話する。何気ない日常会話をする中で「自分がマウンドに立つ試合に早く招待したい」と恩返しの気持ちでリハビリに励む。福岡ソフトバンク育成で支配下登録を目指す弟・リチャード(20)とも刺激し合う仲だ。二人がそろった自宅では野球中継を見ながら「自分ならこの配球で攻める」と投手、打者それぞれの視点から盛り上がるという。
ドラフト指名後、選手たちはマイナーリーグで実績を積み、メジャーへ昇格していく。1球団がメジャー契約を結べるのは40選手だ。マリナーズ傘下のマイナーチームはレベルごとに7チームに区分けできるといい、砂川も春季キャンプ後、いずれかに振り分けられる。昨年まではA級に分類されるサウスサウスアトランティックリーグの所属チームだったが、ことしは日本の3軍に相当するAA(2A)チームへの昇格を目指す。一般的なメジャーリーグでの初登板平均年齢は26歳。「2Aで実績を残して、2、3年でメジャーに昇格したい」と意気込む。
20年は「勝負の年」。18日には春季キャンプ前の最後のブルペン練習、2月には約1年半ぶりの実戦が控える。「緊張もあるが、楽しみの方が大きい」と笑顔が自然とこぼれた。目標とする選手はいない。「みんなに応援される選手、自分がなれる一番の投手になりたい」とメジャーのマウンドに立つその日を夢見る。