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《女性・女系天皇、議論せず》

 

2月16日付の『読売新聞』には、こんな見出しが躍った。驚くべきことに安倍政権が、女性・女系天皇について議論しない方針を固めたというのだ。公の場で議論を行うための有識者懇談会すら設けない方向だという。

 

「昨年10月に実施された共同通信の世論調査で、女性天皇容認への賛成は8割を超えています。歴史上も女性天皇は存在しました。このまま“男系男子”に固執すれば、もっとも重要な伝統である世襲による皇位継承が危うくなるのは明らかです。皇室の存続を真剣に考えるならば、女性・女系天皇についての検討は避けて通れないはずです」(皇室担当記者)

 

天皇陛下も’18年2月の誕生日会見で《その時代時代で新しい風が吹くように、皇室の在り方もその時代時代によって変わってきていると思います》とおっしゃり、伝統を重んじつつも、時代に応じて皇室のあり方は変わるとのお考えを示されている。

 

04年12月に薨去された宣仁親王妃喜久子さまも、『婦人公論』(’02年1月22日号)で、次のように綴られていた。

 

《女性の皇族が第127 代の天皇さまとして御即位遊ばす場合のあり得ること、それを考えておくのは、長い日本の歴史に鑑みて決して不自然なことではないと存じます》

 

愛子さまがお生まれになった当時、皇室からも「愛子天皇」を期待する声があったのだ。さらに、雅子さまの祖父・江頭豊さんにも、愛子さまにまつわる”秘話”があるのだという。江頭豊・寿々子夫妻を知る人物が語る。

 

「江頭夫妻は、愛子さまのご誕生をたいへん喜んでいました。あるとき豊さんが『愛子さまが天皇になる夢を見たんだよ』と、とてもうれしそうに話していたことがありました。雅子さまも、お祖父さまの夢のことはご存じだと思います。豊さんは、愛子さまの聡明さがもっと世間に伝わってほしいという気持ちも抱いていたようです」

 

豊さんが亡くなったのは’06年9月。愛子さまがお生まれになったのは’01年12月であるから“夢”はその間に見たことになる。

 

「ちょうど15年ほど前は、女性天皇容認へという機運が高まっていた時期でもありました。’05年、小泉内閣のときに『皇室典範に関する有識者会議』が招集されて、愛子さまが皇位継承者となられるように、皇室典範が改正されようとしていました。豊さんは、もしかしたら自分の夢が正夢になると思われたのではないでしょうか」

 

小泉内閣が’05年11月24日に国会に提出した有識者会議の報告書では《我が国の将来を考えると、皇位の安定的な継承を維持するためには、女性天皇・女系天皇への途を開くことが不可欠》と、明確に結論づけられていたのだ。

 

しかし、この翌年に紀子さまが第3子をご懐妊。皇室にとって実に40年ぶりの男子となる悠仁さまがお生まれになったのは、’06年9月6日のことだった。

 

江頭豊さんは、それからほどなくして、同じ月の24日に亡くなったのである。愛子さまは4歳でいらした。悠仁さまご誕生まで雅子さまは、愛子さまを“将来の天皇”としてお育てになるつもりだったのだろうか。

 

「小泉政権は皇室典範の改正案提出直前までこぎつけていました。当時の雅子さまも政府や国会の動きを注視されていたでしょう。愛子さまが将来天皇になることも、ある程度想定していらしたと思います」(前出・宮内庁関係者)

 

初等科の一時期は雅子さまが登下校に付き添われるなど、登校できない時期もあった愛子さま。しかし、たくましく成長された現在は、皇族としての自覚も芽生えているという。

 

「’17年に東宮御所にデンマークやスウェーデンの王族が招かれたときには、愛子さまもご懇談に同席されたのです。愛子さまは通訳を介さず、英語で会話されました。愛子さまの語学力は、天皇陛下がご自身以上の実力だと話されているほどです。東京五輪では皇族方が各国要人を接遇することになります。愛子さまがお迎えにあたることも十分に考えられます」(皇室担当記者)

 

4月、愛子さまは天皇陛下と同じ学習院大学文学部へ進学される。元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さんは、今後の皇位継承の議論において重要となるのは“両陛下のご意向”だと語る。

 

「平成の天皇退位の特例法は、上皇陛下のお気持ち表明が発端となり、そのご意向を尊重した国民の声によって成立しました。皇位の継承についても、国民は当事者である天皇陛下や皇族方のご意向を知りたいと思うでしょう。それがわからないままですと、どういう結果であろうとも、わだかまりが残るだろうと思っています」

 

雅子さまは最愛の祖父の“夢”を胸に秘められたまま、女性天皇問題が本格的に審議される日を待ち続けていらっしゃるのだろうか――。

 

「女性自身」2020年3月24・31日合併号 掲載

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