感染拡大が止まらなければ発電所などのインフラに影響が及ぶ可能性も(写真:時事通信) 画像を見る

「爆発的感染拡大が始まれば止める方法はほとんどありません。だから私たちが今すぐに行動を変えなければ、社会が崩壊してしまうかもしれない」

 

そう警鐘を鳴らすのは、横浜市立大学教授の佐藤彰洋氏。エボラ出血熱の感染シミュレーションなどの研究実績を持つ、データサイエンスの専門家だ。webページ「COVID-19情報共有」を立ち上げ、最新の研究結果とシミュレーションを発表、情報発信を続けている。

 

その佐藤教授が公表した、衝撃的な分析結果とは――。

 

「爆発的感染拡大を防ぐための最終ラインは、3月26日でした。それまでに極めて厳しい都市封鎖と移動制限が必要だったのです。すでに感染拡大が制御できない段階に入りつつあると考えるべきです。全国の感染者数が3,000~5,000人に達した時点で、医療の容量を超え、感染者の隔離が困難になってきます。すると感染率が急上昇し、爆発的感染拡大が始まります。その後もまだ極めて厳しい都市封鎖をしないとする“最悪の試算”では、国内の感染者が1万人を超えてから1週間で10万人となり、その2週間後には100万人、さらに3週間後には1千万人に達すると試算されるのです」

 

4月5日には日本国内の感染者確認数が3,858人(クルーズ船除く)となった。すでに医療崩壊に陥る危険水域といえる。さらに佐藤教授は、感染拡大が社会インフラに及ぼす影響を危惧する。

 

「感染者が100万人を超えると、社会のあらゆる場所に感染者が確認されることになります。発電所の運転員や保守員が多数発症する事態ともなれば、発電量が著しく減少し、さらに水道やガス、通信、公共交通などの社会インフラも停止する事態となります」

 

電力供給が止まってしまう“最悪の事態”は起こりうるのか――。東京電力の広報室に聞いた。

 

「電力供給に必要な業務については交代要員の確保など準備しています。安定供給の根幹に関わる中央給電所の要員に対しては『専用エレベーターの使用』『専用の動線による接触回避』『大人数での食事制限』など対策を行なっています。出社前には検温を全社員が行い、37.5度以上の熱がある場合は、外出を控えるよう対策を徹底しています。仮に非常事態宣言が出ても、引き続き、電力の安定供給に影響が及ばないよう取り組みます」

 

たしかに東京電力が’19年4月に公表している防災業務計画を見ると、交代要員の確保といった対策が書かれている。しかし、水害や地震は想定されているものの「ウイルス」「感染症」といった文言はない。佐藤教授はこう指摘する。

 

「今回の新型コロナは、過去100年間に人類が経験したことのない規模の疫病です。今後、過酷な局面でも電力供給を担保できるかは、かなり不確実だと考えるべきです」

 

感染爆発を避けることはできないのか? 佐藤教授はこう訴える。

 

「これ以上の感染の連鎖を止めるには、少なくとも2週間、全員が他人と直接的な接触を、これまでの50分の1以下まで極端に少なくする必要があります。とくに感染者が急増している都市部では、他人との直接的な接触を伴う行為を徹底的に避けてください。買い物に行くことも危険と考え、1週間あたり1時間以内ですませてください。地方の人は都市部に出かけないでください。まず自分の身を守ることです。それによって、社会も守られるのです」

 

「女性自身」2020年4月21日号 掲載

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