新型コロナウイルスの感染拡大で学校の休校が続き、16日には沖縄も緊急事態宣言の対象地域となるなど外出自粛の徹底がさらに求められている。気になるのは運動不足だ。専門家に聞くと、屋外で距離を保つなど十分に注意すれば、2~3人での運動は可能だという。スポーツ庁もランニングは「問題ない」とする。「筋力強化のいい機会だ」と自宅でのトレーニングを習慣付けようと呼び掛ける声もあった。
■1人で野外は許容
県立中部病院感染症内科・地域ケア科の高山義浩医師は「1人で自宅や野外で行うスポーツであれば感染リスクはない」と話す。公園の鉄棒や遊具など、不特定多数の人が触れる物を触った前後の手洗いや手指消毒の必要性を強調した。
キャッチボールなど距離を取って2~3人で行う練習については「互いに症状がないことを確認した上であればいいだろう」と事前の確認に注意を促した。
高齢者にはゲートボールやグラウンドゴルフが人気だが「特に高齢者はグループで集まることを避けてほしい」と求め、ゴルフ練習場の利用については「手指の消毒など衛生の徹底を」と指摘した。
一方、体育館や各種施設など屋内で1人で体を動かすことは、風通しを良くした場合でも「感染リスクは高いと思われる」とみる。
■グラウンドの使用
安倍晋三首相は7日に東京など7都府県に緊急事態宣言を出した際、密閉・密集・密接の「三つの密」を避けることを順守すれば「今までどおり外に出て散歩やジョギングすることは何ら問題はない」と話した。スポーツ庁の担当者も「3密にならないことを前提にすれば屋外での運動をとめるものではない」と説明した。
ただ課題は場所だ。学校は休校で子どもたちを含め、運動場は原則的に使用できない状況にある。市町村が運営するグラウンドなども閉じているところが多い。運動場の使用について、スポーツ庁の担当者は「(市町村など)所有者の判断になる」と述べ、国としては使用を禁じてはいないという立場だ。感染の収束に先行きが見えない中、距離を保って行う運動の在り方やグラウンドの開放なども検討が必要になりそうだ。
■活動再開に備えて
競技がままならない状況にあっても、アスリート工房代表でマスターズ陸上45~49歳の400メートルリレー世界記録保持者でもある譜久里武さんは自宅でのフィジカルトレーニングを普段の生活の中で習慣化させる「ある意味でチャンスだ」と捉えている。
トレーニングの中断が続けば運動パフォーマンスは当然に下がる。体全体の運動能力の低下を防ぐためのポイントとして挙げるのが足腰の運動だ。「まずは足腰の筋力維持が重要だ。これはどの競技にも共通している」と説明する。
足を前後に開いた状態で膝の曲げ伸ばしを行い、股関節も広げるランジと呼ばれる動きやスクワット、体幹運動や無酸素運動などを取り入れることで「やるだけ効果が見える。競技が再開できる時には今まで以上のパフォーマンスができることも期待できる」と勧める。
筋力維持や強化の前に、感染予防や重症化を防ぐには不摂生や無理を避けることが求められる。譜久里さんも「食事、睡眠、トレーニングのバランスも重要。この三つがそろってレベルアップにつながる」と指摘した。 (謝花史哲、上江洲真梨子)