自粛生活が徐々に解除され、「アフター・コロナ」の世界へ向けて。世の中の価値観や働き方が見直されるなか、私たち女性はどう生きるべきかーー今こそ新たな視点を持ち、主体性を持って発言・行動するときです。そこで、コロナの時代を生き抜く女性たちへの提言。
■女性学研究者・田嶋陽子さん(79)
「このコロナ禍で注目したのは、世界の女性リーダーたちの活躍でした。彼女たちに共通しているのは、思いきりがよくしなやかで、なにより“大切な命を守る”姿勢。その一点に的を絞っているので、決断が早く、すみやかに行動できた。結果、経済へのダメージも少なくすんでいるのです」
穏やかな口調で話すのは、女性学研究者の田嶋陽子さん。これまでも独自のフェミニズムで、多くの女性に勇気と希望を与えてきた。
「その一方で、パンデミックの裏側にあるDVと性暴力の広がり。これはワクチンができれば治るものではなく、その先へと続く女性の人生そのものがかかっています。日本の場合は特に、女性の権利意識の低さ、被害者を責める風潮から表に出にくいので深刻です。この被害をなくしていくためにも、やはり、男を頼っていちゃいけない。“男を捨てても、仕事は捨てるな”と言いたいです。結婚をしたいなら、“人生で3回はする”くらいの意識で。そして、そのたびに仕事や自分の大切なものをキープして、いつでも別れられる準備をしておく。好きな仕事を選び、好きな男性を選び、好きな生活を選び、好きな人生を歩むーー」
そのためには、「女性自身が強くならないといけません」と田嶋さん。
「若い人だけでなく、古い価値観があったゆえに専業主婦として生きてきた50代前後の女性は、人材の宝庫。まずは女性であることに自信を持ち、社会で活躍できる存在なのだと知ってください」
「女性自身」2020年6月23・30日合併号 掲載