【今週の悩めるマダム】
持病があるので新型コロナにかかるわけにはいかず、ほとんど隔離生活のような日々を送っています。夫を亡くして一人暮らしなのですが、生活必需品はすべて宅配で持ってきてもらっています。もう2カ月以上、娘にも孫にも会っていません。孤独で、こんなことならコロナで死んだほうがマシじゃないかと思えてきました。(東京都在住・60代女性)
「コロナで死んだほうがマシだ」という覚悟がおありならば、もう少し、外の世界と繋がってもいいように思います。安全対策をしっかりやって、安全な範囲で安全な場所への外出ならば、ほとんど問題はありません。僕も60代ですが、最前線のフランスでロックダウン下を乗り越えました。ちゃんと3密を避ければ、そこまでのリスクはないと思います。持病はたしかに心配ですが、家に籠ってばかりいたら心が死んでしまいます。まずは近くの公園など屋外の広い場所で、娘さんやお孫さんと安全対策をしっかりとった上で会えばいいのです。そこまで神経質になっていては身が持ちません。死ぬよりも恐ろしいことになってしまいます。
宅配で生活必需品をまとめ買いするのはいい案だと思いますが、まったく外出しない日が2カ月以上も続くのは、精神衛生上よくないですよ。広めで風通しのいいスーパーに、人のいない朝一の時間に、マスク、手袋、フェイスシールドなどで完全防備をして出かけてみてください。さらに帰宅後、きちんと手洗い・うがいをすれば大丈夫です。まずは日常を取り戻しましょう。ここ、パリでも、僕たち父子の向かいに住む独り身の男性が家から出ていません。きっと持病があるのでしょうね。窓越しでよく顔を見かけるので、先日、手を振りましたら、振り返してくれました。「今日は、快晴ですよ! そっちの公園は人が少ないから歩いてみてください。少しは外の空気を吸って」と言いましたら、うんうん、と泣きそうな顔で頷いておられました。きっと奥様と同じような境遇なのでしょう。
僕自身、感染拡大が続いたロックダウンの最中、奥様と同じように絶望した時期がありました。60歳だし、重症化したら死んでしまう、と思ったのです。悪い方に悪い方に考えてどんどん落ち込んでいきました。そんなある日、知り合いの哲学者から連絡があり、「人間は放っておいてもいつか死ぬんだ。恐れて生きながら死ぬよりもできる限りの対策をとって日常を取り戻して生きる道を選びなさい」と言われたのです。この言葉で、目が覚めました。人間は絶望しながら生きてはいけません。外に出て、人を避けながら、太陽の光を浴びて、僕は人間性を回復させました。
結論から言いますと、フランスでは先日、緩やかなコロナ収束宣言が出されました。完全な収束ではありませんが、あの酷かった日々を思うと大前進です。人間は感染をしないための方法を学んできました。マスク、手洗い・うがい、消毒、ソーシャルディスタンス、などです。これをきちんと守っていれば大丈夫。公園に行き、お孫さんの笑顔に触れてください。心に血が通い出します。そうやって人間性を取り戻して生きることが人間には何よりも大事なことです。
【JINSEIの格言】
僕は毎晩ツイッターを更新し、日本時間に合わせて「おやすみツイート」をしています。奥様も、寝る前にチェックしてみてください。僕はここにいますから。一緒に乗り越えましょう!
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