「休日の昼に2~3時間外出していた夫が帰宅後、『疲れた』と言って夕方まで昼寝していました。夕食時、夫が『体の具合が悪い』と。昼間はピンピンしていたのに、体温を測ったら38.5度の高熱。さらに、倦怠感や背中の関節の痛みといった症状も出てきたんです」
夫が新型コロナウイルスに感染し、家庭内感染した首都圏在住の40歳の主婦・A子さんは本誌にこう語る。
感染者が毎日200~300と増え続ける東京では8月に入り、40代と50代での家庭内感染は2週間でおよそ120人に達した。東京都の担当者は言う。
「夫から妻への感染が多い傾向があります。ここ2週間で取ったデータでは、家庭内感染した40~50代のうち約7割が女性でした。40~50代の感染者でも男性の場合は経路不明者が多いのですが、同世代の女性の場合は、夫から妻というケースが多いです。若い人の外出がフォーカスされがちですが、40~50代の方も行動に気をつけて、手洗いやマスクなど家庭内でも基本的なことに気をつけるというのは大前提です」
実際に夫から感染した冒頭のA子さんに、自身が感染するまでの経緯を聞いた。
「今まで高熱を出したことがない夫でしたので、すぐにコロナかインフルエンザのどちらかと思いました。医師もコロナを疑って、PCR検査を勧めてくれたんです」
インフルエンザの検査は陰性。PCR検査を受けた結果は陽性。夫は「仕事ができなくなる」とコロナ感染にショックを受けていたという。
「そのころは病院の空きがなく、順番待ちをするしかなくて。夫は保健所から人との接触をなるべく避けるため、自宅待機を命じられていましたから、いつ私が感染してもおかしくない状況だったんです。案の定、夫の感染が判明した翌日に私も37.5度といった微熱が出始めて感染がわかりました……」
A子さん自身は、夫と比較して微熱以外は症状が出ない軽症だったため、同じく自宅待機となった。
「保健所からは毎日、『その後、お変わりありませんか』といった電話があり、経過報告していました。夫婦できちんとした医療保険にも入っていなかったので、夫にもしものことがあったらどうしよう……と不安な毎日でしたね。私にはせきのような症状はなかったので、しばらくしたらマスクを着けての買い物は許可されましたが、できる限り買い物を人に頼んだり、デリバリーのサービスを利用していました」
結局、夫も最後まで入院することなく3週間の自宅療養で陰性に。A子さんいわく、自宅待機中、全身防護服の係員がPCR検査キット持参で、日を変えて3回もやってきたという。
「正直、近所で妙な噂が立ちそうなので、目立つ格好で来るのはやめてほしかった……」
と顔を曇らせたA子さん。平穏な日常を送れるよう、世の夫たちにリスク管理を徹底してほしい――。
「女性自身」2020年9月1日号 掲載