沖縄県は29日、公共事業用地の取得価格算定や相続税、固定資産税評価の目安として用いられる今年7月1日時点の県内基準地地価調査結果を発表した。林地を除く全用途の平均変動率は前年比プラス4・7%で、2014年から7年連続の上昇となり、上昇率は3年連続で全国1位だった。用途別でも住宅地は同4・0%、商業地は同6・2%、工業地は同11・6%上昇し、いずれも全国1位の上昇率だった。一方で新型コロナウイルス感染症の影響による観光需要の減少などを受けて、上昇率はいずれも19年調査より縮小した。
用途別の変動率では、住宅地は5年連続、商業地は2年連続、工業地は6年連続で全国一となった。上昇率が高かったのは、住宅地が宮古島市城辺保良のプラス37・3%、商業地が同市平良西里根間で同38・9%、工業地は豊見城市豊崎で同28・9%と、いずれも全国1の上昇率だった。
新型コロナウイルスの感染の影響で、県内経済は観光産業を中心に大きな打撃を受けているが、感染拡大以前は県経済が好調だったことからプラスを維持した。地価上昇をけん引してきた商業地は、観光客減少によるホテル稼働率の低下や飲食店や土産物店の一部が撤退するなどの影響で、上昇率は19年の12%から半減した。住宅地は、一般県民の所得上昇を上回るペースで地価が上昇したことや建築単価の高騰により需要に一服感がみられ、19年の年末には既に鈍化傾向が表れていたところに、新型コロナの影響が加わった。
地価公示分科会代表幹事の濱元毅不動産鑑定士は、「地点によって差があるが、3月ごろまではほとんどの地点で上昇していた。4月以降は新型コロナの影響で大幅下落した地点も多いが、トータルで見るとプラスになった。今後は、弱含みの動きになることは確かだ」と説明した。
1平方メートル当たりの最高価格地点は、住宅地が4年連続で那覇市天久2丁目の33万円(プラス8・2%)、商業地が30年連続で那覇市松山1の1の4で127万円(プラス15・5%)だった。
県内の基準値地数は41市町村の284地点で、前年と同数だった。