生きていくのに医療的ケアが必要な子はいま、全国で2万人以上。これまでは、極端に行政からの支援が不足していたため、多くの親は仕事を辞めて子どもに付き添ってきた。だが、今回施行される「医療的ケア児支援法」により、事態に改善の兆しが! 親に、子どもに、どんな未来が待っているのだろうかーー?
病院に行くと、鼻にチューブを入れたり、気管を切開して器具をつけている入院患者さんを見かけたりしないだろうか。同じように、日常的に医療デバイスをつけたり、痰の吸引や栄養注入などの医療行為を受けることが不可欠な子どもを「医療的ケア児」という。そして、その多くが自宅で生活を送っている。
日本では児童福祉法によって、障害のある子どもたちは、発達を支援するための「療育」など、国や自治体からさまざまな支援を受けられる。
ところが、この「医療的ケア児」の中には、日常生活で医療行為が必要なのに、重い障害のある子とは同じ扱いにならない子も存在する。たとえば、知的な遅れもなく、自分で歩くことができるが、酸素吸入は常時必要という子は、昨年度までは制度上、医療従事者が常時付き添う必要がないカテゴリーに属しており、国や自治体からの手厚い支援の対象にならなかったのだ。
事態に風穴を開けると期待されるのが、9月18日に施行された「医療的ケア児支援法」だ。
これは、国や自治体による支援を「責務」とし、幼稚園、保育所、学校などにケア担当者を設置する、と明記している。また、支援センターを各都道府県に設置し、相談に応じるといった内容が盛り込まれている。
ケア児と家族にとって、まさに朗報。法律の施行によって、どんな未来を期待しているのか、そのご家族に話をうかがった。
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