《性別に関係なく働き続け、女性が個性と能力を発揮できる社会の実現に向けて、社会全体で女性の活躍を応援する機運を高めていく》
このようなコンセプトを掲げ、女性の活躍の推進に取り組むのは「かながわ女性の活躍応援団」。女性の活躍支援を目指す同団体だが、公式サイトにある応援団メンバーの顔ぶれを見てみると……。なんと、参加メンバーは全員男性。インターネット上では《絶句》《コントかな…》などと物議を醸している。
15年11月にサイトが開設されたが、その際も応援団メンバーに女性の姿はなく、疑問の声が続出。たびたびこの“体制”へ疑問を唱えるニュース記事なども出たものの、変わることはなかった。
神奈川県の「かながわ男女共同参画センター」が設立し、黒岩祐治神奈川県知事(67)が団長を務める同団体。批判を受けながら、設立から7年たった今も女性メンバーが1人もいないのか?
「かながわ男女共同参画センター」に取材を申し込むと、団体の趣旨を次のように話してくれた。
「応援団の結成は2015年ですが、当時神奈川県内の企業のトップの約9割は男性でした。だからこそ、女性が活躍しやすい社会にしていくためにはまずは男性のトップの意識改革が必要だと考え、このような構成となりました」
しかしその考えはなかなか理解されず、男性メンバーしかいないことを疑問視する声は当初からあがっていた。今も女性メンバーが一人もいない背景について聞くと――。
「残念ながら現在でも県内企業のトップの約9割が男性だという状況は変わっていません。たびたび疑問の声をいただいていたことは承知していますが、“男性から率先して女性活躍に取り組む”という私たちのコンセプトをご理解いただく機会にもなっているかと思いますので、コンセプトを変えることなく活動を続けています」
メンバーは男性のみではあるものの、同団体にはアドバイザーとして岩田喜美枝氏が就任している。団体に関わる唯一の女性で、神奈川県男女共同参画審議会の会長を務める人物だ。
「岩田さんは、内閣府男女共同参画会議の議員として全国の女性の活躍を支援されていたご経験もあり、設立当初からその知見を活かして応援団の取り組みにアドバイスをいただいてきました。
コロナ以前は女性活躍を応援する取り組みや社会的ムーブメントを拡大するための全体会議を年に1度開催していましたが、そこでも岩田さんには様々な助言をしていただきました」
今後女性メンバーが加入することはあるか? という問いには「時代に応じて考えていかなければならないと思います」と答えた。
今もトップの9割が男性の神奈川県。女性メンバーが加入できる状況になる日は果たして――。