逮捕された谷口容疑者(写真:時事通信) 画像を見る

「谷口容疑者や太田容疑者らからなる詐欺グループは、持続化給付金で虚偽の申請をするよう名義人に依頼。そして“手数料”を詐取していました。給付金は1件100万円ですが、そのうち9割を手数料としていたケースも。被害総額は10億円に及びます」(全国紙記者)

 

コロナ禍で起きた10億円規模の給付金詐欺。その主犯格とされる2人の人物が6月22日に逮捕された。一人は家族ぐるみで詐欺に加担し、インドネシアに逃亡していた谷口光弘容疑者(47)。そしてもう一人は、東京・六本木で飲食店の店長を務めていた太田浩一朗容疑者(34)だ。

 

「この詐欺グループの申請名義人は36都道府県に及び、申請件数は約1千800件。不正受給額としては過去最高と言われています」(前出・全国紙記者)

 

これほどまで詐欺を拡大させた“中心人物”が太田容疑者だった。

 

「2人が出会ったのは太田容疑者の飲食店です。太田容疑者は当初、客の谷口容疑者から誘われる形で名義人に。しかしその後、飲食店で培った人脈から、詐欺の中核を担う30~40代メンバーの多くを詐欺グループに引き入れました。羽振りのよい客には高級ウイスキーを提供して仲よくなり、誘い込んだといいます。その結果、グループは全国展開し、急拡大したのです」(前出・全国紙記者)

 

そんな太田容疑者の新たな詐欺疑惑を本誌はキャッチした。「120万円を騙し取られました」と語るのは、建設業に携わるAさんだ。

 

「太田さんと知り合ったのは10年ほど前。お店に行くうちに仲よくなりました。ふだんは人当たりがよく温和で、知り合いは30~40代のお金持ちばかり。みんなお店の常連でしたし、人望も厚いと完全に信頼していたのですが……」

 

昨年4月、太田容疑者はAさんに「給付金詐欺の主犯にされそう。ただ人を紹介しただけなのに。友人も巻き込んでしまい信用も失って最悪です」と嘆いていたという。

 

「その後、『国産の高級ウイスキーでひともうけしたい』と投資話を持ち出されたんです。10年の付き合いですし、思わず120万円貸してしまいました。『1年後には必ず返す』と言っていたのに、1年以上たっても音沙汰なし。どうしようかと思っていた矢先に太田さんが逮捕されたんです」(Aさん)

 

太田容疑者は自身の“城”を詐欺の拠点としていたのだ。また、太田容疑者を信じ込んだ理由に「同情心もあった」とAさんは言う。

 

「彼は“バツイチで幼い子供が2人いて自分で育てている”と話していました。意外に子煩悩な父親なんだと思ってしまったんですね。ただ今思えば、彼は夜働いていたので、飲食店にいる間、小さな子供をどうしていたのか疑問もありますが……」

 

子供も利用して油断させる非道な手口。次々と口車に乗せる“接客術”に自らが酔っていたのか。

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